「同じ作業を二度繰り返す愚か者」と「それを自動化する狂人」の話など、今の私にはどうでもいい。 私はアーティストだ。同じ作業など、そもそも二度とない。
自動化? 効率化? ナンセンスだ。 我々がやるべきは「量産」ではない。「唯一無二の作品(クラフト)」をその手で生み出し続けることだ。 今日は、私の愛用するノミとカンナ…いや、DaVinci Resolve について語ろう。
これは単なる動画編集ソフトではない。「映像」という素材を使って、この退屈な世界の空気感や感情を再構築するための、最も贅沢なツールだ。
1. ティール&オレンジ:日常を映画に変える魔法
スマホで撮った薄汚れた建設現場の映像。そのままではただの記録だ。 だが、DaVinciのカラーページでダイヤルを回し、ハイライトにオレンジ、シャドウにティール(青緑)を流し込む。 その瞬間、現場は「ハリウッド映画のワンシーン」へと昇華する。
何気ないスタバのカップも、特定の「赤」だけを残して他をモノクロに沈めれば、『シンドラーのリスト』のような意味深なオブジェクトに変わる。 「ただの風景」に、私の主観という「色」を塗る。この快感を知ってしまったら、もうAIによる自動補正など使う気にはなれない。
2. Magic Mask:世界を書き換える「神の消しゴム」
「あの看板が邪魔だ」「この通行人を消したい」。 DaVinciのMagic Maskとパッチリプレーサーを使えば、それは現実になる。AIが被写体を認識し、背景だけを塗り替えたり、存在そのものを「最初からなかったこと」にする。
これは編集ではない。**世界の改変(World Edit)**だ。 写真の中のノイズを一つずつ丁寧に消していく時間は、写経のような静寂(サイレンス)をもたらしてくれる。自動化で時間を短縮するよりも、この没入する時間こそが愛おしい。
3. Fairlight:目に見えない「空気」を彫刻する
映像のクオリティの半分は「音」で決まる。 風の音、遠くの車の音、衣擦れの音。それらを多層的にレイヤリングし、「その場の空気」を再現する。 ノイズを削ぎ落とし、自分の声をラジオDJのように深く響かせる。
DaVinciのFairlightページで音の波形をいじっている時、私は建築現場で木材を削っている時と同じ顔をしているはずだ。 目に見えない「雰囲気」をコントロールする作業は、非常に瞑想的だ。
結論を言おう。 「自動化」から離れろ。「自分の手で作る」ことに回帰しろ。
15秒のシネマティックVlogでいい。撮り溜めた写真に、今の自分の心情に合った色を乗せてみるだけでいい。 冷たくて静かな青、あるいは夕方のような温かくも影の濃いオレンジ。
効率のみを追い求める現代において、この「無駄で贅沢な時間」こそが、我々を人間たらしめる最後の砦なのだ。 道具(ダヴィンチ)に使われるな。道具で遊べ。 それが私の、そして岩崎内装の「ゴールデン・アトモスフィア」である。
Thought by Iwasaki (The Digital Craftsman)