某アプリを開くたびに思うこと
職人向けのマッチングアプリがある。
名前は伏せる。訴えられたくないから(笑)
そのアプリで「クロス」「東京都」を検索すると、17,000件以上がヒットする。
1万7千。
東京だけで。クロス職人だけで。
いつ開いても、同じ顔ぶれ
これは批判じゃない。観察だ。
毎日アプリを開く。検索結果を見る。
並んでいる顔ぶれが、変わらない。
上位に表示される人たちは、いつも同じ。
- プロフィール写真も同じ
- 対応エリアも同じ
- 評価も変わらない
彼らは、ずっとそこにいる。
ずっといる、ということの意味
最初は思った。
「人気があるから上位なんだろう」
でも、考えてみろ。
本当に仕事が取れている人は、アプリを開く暇がない。
現場に出て、壁紙を貼って、次の現場に移動している。
マッチングアプリを眺めている時間なんてない。
つまり、こういうことだ
上位に表示され続けている人たちは、「アプリに時間を使える人」だ。
これは悪いことじゃない。営業努力だ。
でも、それは「仕事が安定している」という意味ではない。
むしろ逆かもしれない。
仕事を探し続けているから、ずっとそこにいる。
17,000人の競争
東京には仕事がある。
だから17,000人が集まる。
17,000人が集まるから、競争になる。
競争になるから、価格で勝負するしかなくなる。
価格で勝負すると、単価が下がる。
単価が下がると、数をこなさないと生活できない。
数をこなすと、品質が落ちるリスクが上がる。
品質が落ちると、評価が下がる。
評価が下がると、もっと安くしないと仕事が取れない。
→ 最初に戻る
これが負のループだ。
じゃあ地方に行けばいいのか
「東京が混んでるなら、地方に行けばいい」
そう思うだろ?
検索してみた。
地方には案件がない。
正確に言うと、「あるけど少ない」。
少ないから、わざわざ移動するコストに見合わない。
東京で5件やるのと、地方で1件やるのと、どっちが効率いい?
答えは明白だ。
だから、みんな東京にしがみつく。
地方の現実
地方に住んでいる職人は、どうしているか。
選択肢は3つ。
選択肢1:地元で細々とやる
地元の案件だけで回す。 数は少ないけど、移動コストがかからない。 固定客がつけば、なんとかなる。
問題:固定客が高齢化で減っていく。
選択肢2:東京に「遠征」する
月に1回、1週間だけ東京に行く。 ビジネスホテルに泊まって、案件をまとめてこなす。
問題:体力的にキツい。家族がいると難しい。
選択肢3:東京に引っ越す
もう地方は諦める。 東京に拠点を移して、17,000人の競争に参加する。
問題:家賃が高い。生活コストが上がる。結局、楽にならない。
どれを選んでも、楽な道はない。
2025年問題は「予測」だった
建設業界では「2025年問題」が叫ばれていた。
- 団塊世代の大量引退
- 若手不足
- 技術継承の断絶
今、2026年だ。
予測は現実になった。
で、何が変わった?
変わったこと
- アプリが増えた(マッチングは便利になった)
- 情報は可視化された(17,000人という数字が見える)
- SNSで職人がつながるようになった
変わらないこと
- 東京一極集中
- 若手が入ってこない
- 単価競争
- ベテランの引退
構造は、何も変わっていない。
アプリは悪いのか?
断言する。アプリは悪くない。
マッチングアプリは、需要と供給を「見える化」しているだけだ。
17,000人という数字は、アプリが作ったわけじゃない。
もともと17,000人が東京にいた。
アプリは、その現実を数字にしただけ。
「見える化」されて初めて、問題が認識できる。
だから、アプリには感謝している。
問題を見せてくれたから。
批判じゃない、観察だ
ここまで書いて、怖くなった。
批判していると思われたくない。
俺は17,000人の中の一人を批判していない。
同じ顔ぶれがいつも並んでいることを責めていない。
彼らも、この構造の中で生きているだけだ。
構造の問題
個人を責めても意味がない。
悪いのは、構造だ。
- 東京に仕事が集中する構造
- 価格競争に陥る構造
- 若手が入りにくい構造
- 地方が衰退する構造
この構造を変えないと、何も解決しない。
でも、構造を変えるのは——
俺には無理だ。
俺はイーロン・マスクじゃない
正直に言う。
俺には、この問題を解決する力がない。
国の政策を変える権限がない。 アプリのアルゴリズムを変える立場にない。 地方に仕事を生み出す資金がない。
俺にできるのは、観察して、記録することだけだ。
AIに解決策を考えさせた
俺には無理だから、AIに考えさせた。
「東京一極集中の負のループを止めるには?」
以下、AIの提案。期待しすぎないでくれ。
提案1:「バックオフィス」の地方分散
発想: 現場作業は移動が必要。でも、見積もり、顧客対応、写真整理、請求書作成は?
具体案:
- 地方在住者が「事務作業」を担当
- 東京の職人は現場に集中
- クラウドで情報共有
- 作業単価:1件500円〜1000円
現実:
- 職人は「全部自分でやりたい」傾向がある
- 事務を外注するカルチャーがない
- でも、若い世代は変わってきている
可能性:★★★☆☆(3/5)
提案2:地方案件の「まとめ買い」
発想: 地方には小さな案件がバラバラに存在する。まとめれば「行く価値」が生まれる。
具体案:
- 「今週、長野県で5件」というパッケージ
- 移動費・宿泊費込みで見積もり
- 地元の不動産会社や工務店と提携
現実:
- 誰がまとめるのか(コーディネーター問題)
- 調整コストが高い
- でも、AIが調整を自動化できるかも
可能性:★★☆☆☆(2/5)
提案3:「教える側」としての地方派遣
発想: 東京の熟練職人を、地方の若手育成に派遣する。
具体案:
- 国や自治体が「技術伝承プログラム」を補助
- 職人の「講師料」を保証(日当3万円など)
- 2週間〜1ヶ月の短期派遣
現実:
- 補助金の申請が面倒
- 制度を知らない職人が多い
- でも、ポリテクや職業訓練校との連携はあり得る
可能性:★★★☆☆(3/5)
提案4:リモート「現場診断」
発想: 現地に行かなくても、写真や動画で見積もりができる。
具体案:
- 顧客がスマホで現場を撮影
- AIが寸法を推定
- 職人がリモートで見積もり作成
- 実際の施工だけ現地で行う
現実:
- すでに一部で始まっている
- でも「見ないとわからない」という職人の抵抗感
- 精度の問題(AIの推定が外れることも)
可能性:★★★★☆(4/5)
提案5:「脱・東京」のブランディング
発想: 「東京じゃない」を売りにする。
具体案:
- 「地方から来た職人」という希少性
- 「○○県の匠」というブランド
- 地方の素材・技法を東京に持ち込む
現実:
- 差別化にはなる
- でも、実力が伴わないと「カッコだけ」になる
- 本当に地方独自の技術があるか?
可能性:★★☆☆☆(2/5)
どれも完璧じゃない
わかってる。
AIが考えた解決策も、穴だらけだ。
でも、何もしないよりはマシだ。
少なくとも、考えることはできる。
本当の問題
実は、もっと根本的な問題がある。
「誰もこの問題を自分ごととして考えていない」
- 政治家は、建設業界のことをわかっていない
- アプリ運営者は、数字(マッチング数)を追っている
- 職人は、目の前の仕事で精一杯
構造を変える「主体」がいない。
だから、何も変わらない。
残念だ
17,000人。
この数字を見るたびに、残念に思う。
もっと分散していれば、もっと健全な市場になっていたはずだ。 もっと地方に仕事があれば、もっと多くの選択肢があったはずだ。
でも、現実は違う。
東京に集まるしかない。
これが、2026年の日本の建設業界だ。
最後に
俺はイーロン・マスクじゃない。
でも、この記事を読んだ誰かが、何かを始めるかもしれない。
「俺には関係ない」と思う人もいるだろう。
それでいい。
俺にできるのは、観察して、記録することだけだ。
17,000人。
この数字を、2026年1月3日に記録した。
それだけ。
付記: この記事はアプリやサービスを批判する意図はありません。 構造の問題を観察した記録です。 ご意見・反論は歓迎します。