英会話で詰まる原因は、英語を知らないことではない。日本語が先に出てくることだ。 出てきた日本語を英語に変換しようとして、名詞以外は1対1で移せないから固まる。 だったら日本語の側に索引を作ればいい。口から出てくる日本語を、出てくる回数の多い順に並べて、実際に当たっていた英語を付けた表がこれ。世に在る教材は全部「英語が入口」で、日本語が入口の表は存在しない。
頻度で並べると、上から「こと」「よう」「そう」が延々と続く。全部そのまま英語になるので、 いくら下りてもキリがない。欲しいのは「きりがない」を英語にどう言うかのほう。 その層は既にプロが選別していて、同時通訳者が 「訳せそうで訳せない」として1語ずつ潰した連載がある。 使うのは見出しの語だけで、記事の中身は取らない。 英語側で Wiktionary を再現率の物差しにしたのと同じ扱いで、この一覧を再現できる並べ方かどうかを外から確かめるために置く。
出典 小松達也「訳せそうで訳せない日本語」/ "Untranslatable Japanese"(サイマル・アカデミー)。 英訳は連載から取ったものではなく、日英対訳279万ペアから掘った実測値。 英訳が空の語は対訳コーパスが映画字幕なので、会議とビジネスの語(大筋合意 / 粛々と / 説明責任)が母体に無い。 そこは語域を足せば埋まる。
生の回数を足すのではなく、語域ごとに100万語あたりに割ってから重みを掛ける。 そうしないと、いちばん大きい語域がひとりで順位を決めてしまう。
訳をAIに書かせたら、それは推測でしかない。ここでやっているのは実測で、 日英の対訳280万ペアを1回流して、日本語の表現ごとに実際に当たっていた英語を集めている。 そのうえで「1位の英語が何割の対訳に入っていたか」を見る。 いつも同じ英語になるものは直訳でき、誰も過半を取れないものは直訳できない。 辞書を引かずに、機械が仕分ける。
全部やる必要はない。上位から順に潰していったとき、話し言葉のどれだけを覆えるかを実測で出してある。 残数で管理できるのが、コーパスを持っている側の強み。
慣用句も説明表現もぼかしも相槌も、活用や てにをは まで全部残してある。 絞ると必ず本物が混じって死ぬ。実際この表を作る過程で、ふるいが 「だから」「やっぱり」「逆に」「だと思う」を殺していた。 だから捨てずに札を付けて、見る側で絞る形にした。
| 英語側 | 日本語側 | note | |
|---|---|---|---|
| コーパス | 3億3,374万語 | 262,231,183語 | 3つの語域を配合 |
| うち素の会話 | 2,386万語 | 4,411万語 | YouTube の長尺トーク 3,182本 |
| 表現の総数 | 379,475 | 4,628,944 | 絞る前の全在庫 |
| 生涯遭遇回数 | あり | あり | 20歳までに浴びる1.5億語で換算。定数は英語と同じ |
| 実測の英訳 | なし | 98,274 | 対訳280万ペアから掘った |
| 直訳不可度 | なし | あり | 英語側に無い軸 |
この表を作るときに一番怖いのは、絞り込みが本物を落とすこと。 消えたことに気づく手段を、ふるいの中に持つことはできない。だから 「無ければ教材として失格」の80表現を外に固定して置き、1つでも欠けたら止まるようにした。 下は全部、その監査が見つけたもの。
docs/ja-corpus-spec.md。