本体は日本語のコメディ。英語はおまけ。
ここには英単語が1つも出てこない。それでも、この番組で何が起きているかは全部わかる。毎晩どこかの外国人と喋って事故っている男の、事故だけを日本語で並べた。英語に興味が無くても読める。むしろ、そっちが本体だ。
男は字が汚いと言うつもりで、自分を字にした。男そのものが悪筆である。最初はゆったり、途中から小さく、最後は満員電車。人間として、その形で生きている。
講師が夜勤だったと言った。男は火葬場勤務だと思った。パンダは偽物かという話を3回自分で止め、男は試験官になって講師に先に英検を受けさせた。講師は経済学の答えを出し、男は34年生きた答えを出した — 仕組みはイカサマだ。
男は講師を、火葬場の夜勤に就かせた。墓場で働く人の夜勤は、墓場シフトである。理屈は通っている。講師は昼に人に英語を教え、夜に火葬場で働き、朝に別の仕事をし、合間にボクシングをする人になった。しかも現在形なので、今もそこで働いている。講師は本当は、ただの夜勤である。
前日、男は野球カードを103枚作った。居酒屋で飲んだ帰り、ガチのブルワーズファンの講師と25分。講師は言った — 去年は打ち合おうとして負けた、今年は自分の型で行く。男は言った — それは日本の野球だ。
男は講師に良い夜を、と言い、0.5秒後に、自分はもう持っていると言った。夜を所有している。居酒屋で手に入れたらしい。講師の夜はこれからである。男の夜は、もう在庫がある。
8日前、男は「カーテン」と言い、講師には「牛乳パック」と聞こえた。昨夜、男は東京の天井にカーテンレールを付けた。今夜、AIの台本でその話を「別の講師」に読み上げるはずだった。相手は、あの夜の講師だった。
男は20分かけて、無料のサイトを「地球上でいちばん」と3回言い、本気の先生なら生徒に勧めろ、と講師に迫った。そのあとで、営業じゃないと2回否定した。2回とも a が落ちた。冠詞も付けずに否定するほど、営業ではない。歩合はゼロである。
ヨーロッパの基準は A1 から C2 までの6段で、D は無い。男は自分が日曜に受ける試験を、まず中級に下げ、それから存在しない段に置いた。D2 に受かっても、世界のどこにも証明書は出ない。2日前に自分の試験の格付けを下げるのは謙遜としては満点だが、地図には載っていない。
現在完了は「今までに」を言う形で、12年前という日付とは同じ文に座れない。男は13年前の出来事を、今も続いている経験として語った。つまり男は、13年間ずっとショーシャンクを観ている。途中で英検の勉強を挟んでいる。
英検まで8日。前夜と同じ正月の原稿を、今夜は英国出身の講師に番号で選ばせて読んだ。91歳の隣人の段を読み終えて、男は「面白いでしょう」と聞いた。講師は言った。ちょっと変だね、それは正しい英語なのかな。男が手本として読んでいた英文が、はじめてネイティブの耳を通った夜。
男は8日後の試験のために、この英文を丸暗記している。講師はそれを変だと言った。男は、変だと感じる水準にいない、と答えた。つまり男は、変な英文を、変だと感じずに、正確に覚えていた。暗記は成功している。暗記したものだけが、少し変だった。
英検まで9日。金曜の夜、車の中から、1度も読んでいない原稿を持ち込んだ。AIが書いた日本の正月の話で、叔父叔母が10人いるいとこと、91歳で餅を切らずに食べる祖母が出てくる。男は読みながら、途中で3回、それは俺じゃないと言った。講師はお年玉も餅も知らなかった。男が本当に英語を話したのは、原稿の外だった。
心配していたのは、日本の冗談が海を渡るかどうかだった。口から出たのは、講師の手に負えるかどうかだった。冗談の輸出検査をするつもりで、講師の入国審査をした。講師は審査に答えず、冗談の段を声に出して読み返した。男はこのあと、同じ審査をもう1回やった。
連休の最終日、また外から入った。続ける仕組みの話をしていたら、読んでいた原稿の闇の側に、自分が10年前に通ってきた道が書いてあった。飲み会、休日ゴルフ、自発的でない残業。講師は2夜前の語で受けた。男は、講師が知らない言い回しを1つ、自分から引っ込めた。
低音で壁が震えることを言いたかったのは分かる。出てきたのは理科室の語だった。近所迷惑の話をしている最中に、この男だけが白衣を着た。しかも a が付いているので共鳴は1個。深夜3時、隣の家に嫌な共鳴が1個だけ届く。数分後、この男は別の言い回しについて「これは物理から来ている」と言った。今夜、物理は2回出た。
a と an が1つずつ出た。両方とも逆の席に座った。前の夜、この男は a を7回落とした。今夜、a は戻ってきた。戻ってきて、an と入れ替わった。冠詞の総数は合っている。配置だけがずれている。遅刻してきた社員が、隣の社員の机に座った。
英検まで2週間。講師は雨の車の中、本人は毎晩10時間の雨音で寝ている。AIが書いた生保の原稿の残りを1文ずつ品定めし、丸暗記を批判する1文を読んで「今やってるのがそれだ」と言い、丸暗記を弁護した。講師は「経験したものほど覚える」と言った。その25分で本人の口に残ったのは、前の日に映画で聞いた4つのセリフだった。
AIをほめるつもりだった。AI の A が落ちて、I になった。原稿を書いたのは機械で、読んだのはこの男で、判定したのは講師である。3人の中で一番何もしていない者が、自分をほめた。1文字の欠落で、手柄が機械から人間へ移った。
AI賛成の50文を暗記して持ち込んだら、講師がAI嫌いで、しかも型そのものに不合格を出した夜。
a と3が同席した。1つなのか3つなのか、説明している本人が決めていない。しかもこの説明を2回して、2回とも a を置いた。自分が設計した構造の数え方で転ぶのは、設計者として珍しい。