第136夜ラウディング
召喚の呪文: “very loud louding kind of speaker is always you know in the in the in daytime”
**loud(形容詞)に -ing を付けた個体。**第136夜、選挙カーの拡声器を説明する1文で召喚された。loud は動詞にならない。拡声器は loudspeaker、がなり立てるのは blare。**講師は止めなかった。**この個体は昼間ずっと町を走り回り、候補者の名前を連呼する。
第136夜ディスサポート
召喚の呪文: “I don't I don't support or dissupport I just”
**support の反対を dis- で作った個体。**第136夜、強いリーダーの流行に賛成も反対もしない、と中立を宣言する1文で召喚された。反対は oppose、中立は I'm not for or against。**中立の立場を言うために、辞書に無い場所に立った。**講師は止めなかった。
第127夜エゴ・サティスファイ・オプションズ
召喚の呪文: “put uh your score board score kind of score on the social media and uh you ego you know get uh uh you know just ego satisfy options.”
TOEIC の満点を SNS に載せる人たちを説明する1文で召喚された個体。**satisfy(満たす)という動詞が名詞の席に座り、後ろに options(追加メニュー)が付いて、自我を満たす有料オプションになった。**受験料に、自慢する権利がオプションで付いてくる世界の生き物である。**実在の語は bragging rights(自慢する権利)と an ego trip(自己満足の行い)。**討伐語は bragging rights。英語では権利はオプションではなく標準で付いてくる。**★同じ夜、召喚の10分前に日本語の nanka が1語だけ英文に混ざった(nanka test nerd)。こちらは捏造ではなく輸入なので図鑑には載せない。**
第126夜リアル・ビット・ソフィスティケイテッド
召喚の呪文: “And I'm a little bit knowledgeable, and I'm a real bit sophisticated guy, so I know many topics beforehand.”
a real ~(本物の〜)と a bit of a ~(ちょっとした〜)が正面衝突して生まれた個体。**本物で、少しだけ、洗練されている。**どの程度の男なのか、名乗った本人にも分からない。英検の長文は知っている話題なら有利だ、と説明する1文で召喚された。**★a は立っている — 前夜の宿題「人の型には a」は守られた。札は貼れたが、中身が混線した。**講師は That's a smart thing to do と返した(褒めたのは、話題を先に知っておくことのほう)。討伐語は I'm a bit of a know-it-all / I'm fairly well-read。
第120夜アウトワード・フード
召喚の呪文: “Obviously, compared to like outsi, uh, outward food, you know, hospital foods like uh... Very bland.”
「外食」を英語にしようとして、out を outward(外向きの)に伸ばして召喚された個体。**実在の outward は「外側へ向かう、表面上の」で、outward appearance(見た目)のように使う。外に出て食べる、の意味は無い。**第115夜のアウトワークと同じ系統で、out を付けた語が、外に出る行為そのものを指すと思い込んでいる。**正体は eating out。**病院食と比べる文の中で出たので、病院の外の食事が、外向きの食べ物という姿勢の問題になった。
第119夜ゴースト・スチューデンツ
召喚の呪文: “You have a membership, you subscribe for but you don't show up. Kind of like uh maybe ghost students.”
**図鑑にとって珍しい、通じた個体。**月額に入っているのに一度も授業に出ない生徒を指して、その場で作られた。**ghost が動詞で「連絡を絶つ」の意味を持つので、講師は説明なしで受け取っている。**近い実在の語は no-show / lapsed member で、ジムの会員券の話(you pay for the gym and never go)と同じ生態。**生息地はDMMの予約画面と、世界中のジムの会員名簿。**
第118夜スクリーンシェア・サービス
召喚の呪文: “Next time, yeah, I will maybe show my, uh, screen share service.”
「画面を共有する」という動作が、名詞に固まって「サービス」という商品になった個体。**本人は自分の仕組みを画面共有で見せると言いたかった。英語は I'll share my screen の3語で、サービスはどこにも無い。**生息地は、次回カメラをつけると約束した締めの1分。**★討伐語は share my screen / walk you through it。**同じ夜の締めでは、walk you through を to the letter と取り違えている(to the letter は「指示どおり厳密に」)。
第115夜アウトワーク
召喚の呪文: “Get up early, and did a did uh outwork like a manual labor and physical labor.”
「屋外の仕事」を表す名詞として、out と work を足して召喚された個体。**実在の outwork は「〜より多く働く」という動詞で、He outworks everyone(誰より働く)のように使う。**つまりこの個体は、既存の語の皮をかぶって生まれた。**しかも a を付けられて、数えられる名詞として出てきた。** 生息地はスペインの屋外、講師の朝6時からの職場。
第115夜セルフ・ハイ・エスティーム
召喚の呪文: “Well, maybe, you know, self-high uh, esteem, you know, very, they think they're great job.”
high self-esteem(高い自己評価)の high が、self と esteem の間に割り込んで生まれた個体。**自己評価の中に、高さが入り込んでいる。**Apple の社員を評した1文で召喚され、直後の they think they're great job で、人が仕事に変わった。**自己が高い、という意味では、評された側の姿を正確に写している。**
第107夜ミスコネクション
召喚の呪文: “Mic and headphone is kind of like a little bit misconnection.”
マイクとヘッドホンが別回路であることを表す名詞として召喚された個体。mis- を connection に付けて「つながりが悪い」を作った。理屈は通るが英語が同意しない。**カーソリング(第104夜)、スローペース(第105夜)に続き、3夜で3体目。**ただし同じ文で each one died, each one survived とも言っており、両方が死んで両方が生き残っている。シュレーディンガーのヘッドセットである。討伐語は not tied together / on separate circuits。
第105夜スローペース
召喚の呪文: “You kind of like a slow pace me.”
相手のおかげで自分の速度が落ちる、を表す動詞として召喚された個体。slow pace は名詞句であって動詞ではない。カーソリング(第104夜)と同じ工場から、2夜連続で1体ずつ出荷されている。正しくは slow someone down で3語ひとつ。ただし今回も講師は聞き返しておらず、意味は通っている。
第104夜カーソリング
召喚の呪文: “I'm cursoring, moving.”
画面上の矢印を動かす行為を指す動詞として召喚された個体。cursor は名詞であって動詞ではない。名詞に -ing を付けて動詞にする工場(tolerancy / professionality と同じライン)から出荷されている。ただし講師は聞き返しておらず、意味は1発で通った。通じたことと正しいことは、別々に数える。
第4夜マネーカウ
召喚の呪文: “It can become a money cow.”
存在しない家畜。正しくは cash cow。乳の代わりに現金を出すはずが、この個体は何も出さない。
第4夜ブラッドスウェットティア(単数)
召喚の呪文: “I put blood sweat tear sweating everything into this app.”
涙の在庫が1粒しかない哀しきキメラ。追い発汗する。
第4夜フロント(外構)
召喚の呪文: “I even had to bump up the front.”
font と front の音類似から生まれる工事系モンスター。Webの話を外構リフォームに変える。
第6夜トレランシー
召喚の呪文: “TOLERANCY”
寛容(tolerance)になり損ねた最強個体。討伐する代わりに雑誌の名前になった。飼い慣らしの成功例。
第7夜セルフ減価償却
召喚の呪文: “self-depreciating”
自虐(self-deprecating)のつもりが自己資産の帳簿価額を毎年下げる経理モンスター。訂正後に再召喚された記録を持つ。
第11夜ドラッグ・トゥ・リッチズ
召喚の呪文: “drag to riches people”
成り上がり(rags to riches)になり損ねた個体。ボロ布から富へ昇るはずが、富まで引きずられていく。自力では立てない。
第12夜ダッドボディ
召喚の呪文: “usual dad body in dad posture”
dad bod の学名版。姿勢(dad posture)まで付属する上位種で、宿主の腹と共に成長を続ける。討伐報告は今のところ無い。
第13夜エントランス・ザ・バリア
召喚の呪文: “The accent sometimes entrance the barrier.”
障壁を会場に案内してしまう受付係。entrance には「うっとりさせる」の動詞用法があるため、直訳すると障壁を恍惚とさせている個体でもある。
第16夜ミクセイション
召喚の呪文: “It's like a mixation of GPT or Claude.”
混合(mixture)になり損ねた個体。-ation を付ければ名詞になるという信仰から生まれる系譜で、トレランシー(第6夜)・コンセントメントに続く3体目。宿主の造語癖の本体。
第17夜ポリティカル・ワイズ
召喚の呪文: “what going on in South Africa in political wise situation”
語尾に -wise を付ければ副詞になるという信仰から生まれた個体。「政治的賢者」と読めてしまうのが致命的。コストワイズなど亜種が多く、群れで出現する。
第21夜デス・トールド
召喚の呪文: “the deaths tolled was at least four”
死者数(the death toll)の toll を動詞に転用した個体。直訳すると「死者たちが鐘を鳴らした」。名詞を勝手に活用させる系譜で、報道文の中に紛れ込むと特に見つけにくい。
第23夜コンセントメント
召喚の呪文: “The consentment is already done.”
合意(consensus)に -ment を付けて生まれた個体。ミクセイション(第16夜)・トレランシー(第6夜)と同じ系譜の長兄。外食の話に条約の批准手続きの響きを持ち込む。
第26夜イヤリング
召喚の呪文: “in soccer the coaches are just earring”
絶叫(yelling)が音の近さだけで装身具に化けた個体。サッカーの監督に試合中ずっとイヤリングを着けさせる。直後に「効果は無い、ただの演出だ」と批判されるため、無意味なアクセサリーとして確定する。
第30夜ホームレシズ
召喚の呪文: “there are very few homelesses”
形容詞 homeless に複数形の s を生やした個体。同じ夜に3回出現する群れ型で、millions of homelesses から very few homelesses まで個体数の幅が異常に広い。
第31夜トライ・アンド・エラー
召喚の呪文: “try and error”
試行錯誤(trial and error)の名詞 trial が動詞 try に化けた和製英語個体。日本語圏では完全に定着しているため、本人に自覚が無いまま何度でも召喚される。討伐難度が高い。
第32夜ネイティブ・アメリカン・スピーカー
召喚の呪文: “he's Native American speaker”
native English speaker の間に American が割り込んで生まれた個体。日英バイリンガルの話に3言語目(ナバホ語かチェロキー語)を持ち込む。語順1つで民族が変わる危険種。
第37夜エクスペリメンテーション
召喚の呪文: “I'm just an experimentation”
実験(experiment)が実験行為そのもの(experimentation)に膨らんだ個体。宿主が被験者ではなく実験という営みそのものになる。コンセントメント(第23夜)と同じ、-ation 系譜の一員。
第44夜ノン・プレイング・フライト
召喚の呪文: “because of the not one playing flight you have to change planes”
直行便(direct flight)が「演奏しない便」に化けた個体。逆説的に、演奏する便の存在を前提にしてしまう。宿主が即座に「乗り換えってどう言うの?」と聞き返したため、その場で討伐された数少ない例。
第50夜ハイ・フィーバー
召喚の呪文: “I have a pollen allergy, you know, high fever they say”
花粉症(hay fever)が高熱(high fever)に化けた個体。hay(干し草)と high の音の近さから生まれる。「そう言われている」と伝聞の形式まで付くため、誤りが第三者の証言として補強される厄介な性質を持つ。
第56夜ギークス
召喚の呪文: “they're not prepared, geeks, this one”
機材(gadgets)がオタク(geeks)に化けた個体。マイクの不調を説明する場面で、準備不足なのが機械ではなく人種になる。宿主がこの語を選んだ理由は本人にも不明。
第59夜ダイド・ダウン
召喚の呪文: “I died down and got bored eventually”
現象が沈静化する(die down)を人間に適用した個体。世界的ブームは続いているのに宿主だけが個人的に鎮火する。しかも「鎮火してから飽きる」という順序になるため、因果まで逆転させる。
第63夜ワン・サイト・バイバイ
召喚の呪文: “I don't want one sight bye-bye relationship”
一回きりの関係(a one-off / one-and-done)を、一目会ってさよなら、と直訳して生まれた個体。図鑑で唯一、正解形より切ない。全64夜の最後に召喚された。
第65夜プレシャス(動詞)
召喚の呪文: “I have to precious my daily lives”
形容詞 precious を動詞席に座らせて生まれた個体。「日々を precious する」— 正解は cherish。同じ文の尻尾では life is precious と正しい形容詞用法も生きているため、品詞の在庫はあるのに出庫だけ事故る宿主の癖を最もよく表す標本。花火大会の夜、carpe diem の直後に召喚された。
第66夜カワードネス
召喚の呪文: “I'm just blaming my cowardness right now”
臆病(cowardice)に自前の -ness を接ぎ木して生まれた個体。正解形 cowardice が既に -ice という名詞語尾を持っているのに、二重に名詞化された。しかも everything happens for a reason(すべては必然)という悟りの直後、恐怖の真っ最中に召喚されたため、図鑑で唯一、震えている。コンセントメント/ミクセーション/トレランシー/プレシャス(動詞)に続く第5弾で、-ness 系は初。
第69夜プロフェッショナリティ
召喚の呪文: “professionality is yeah, that, he lacks that ability.”
プロ意識(professionalism)の語尾を -ity に差し替えて生まれた個体。無礼な講師に足りないものを一言で指弾する、その一番大事な瞬間に召喚された。プロ意識を語るための単語が、プロの仕事をしていない。コンセントメント/ミクセーション/トレランシー/プレシャス(動詞)/カワードネス/カウンターエフェクティブに続く第7弾で、-ity 系は初。
第67夜カウンターエフェクティブ
召喚の呪文: “Countereffective also, yeah.”
逆効果(counterproductive)を counter + effective で組み直して生まれた個体。effective(効果的)の逆なのだから counter を付ければいい、という理屈は最後まで筋が通っているのに、英語だけが同意しなかった。「不老不死を目指して健康を損なっている億万長者」への相槌として召喚されたため、図鑑で唯一、自分自身が逆効果の実例になっている。コンセントメント/ミクセーション/トレランシー/プレシャス(動詞)/カワードネスに続く第6弾。 **第135夜、68夜ぶりに再召喚された — 90 minutes walk didn't help me, and countereffective。1時間半歩いて試験会場に着いた散歩への評価として。講師は止めなかった(相槌も挟まず流れた)。訂正されずに1回通った。**
第73夜エア・ダウン
召喚の呪文: “They have to let their air.”
羽目を外す(let one's hair down)の hair から h が1つ落ちて生まれた個体。下ろすものが髪から空気に変わるため、宿主の周囲では気晴らしが気象になる。酒を禁じられた国の20歳の若者たちが、週末ごとに空気を下ろしている設定になった。ハイ・フィーバー(第50夜)・イヤリング(第26夜)と同じ、1音の脱落から生まれる系譜。なお宿主本人の頭髪の量とは無関係である。
第73夜インディペンデント・コンストラクター
召喚の呪文: “DMM teacher is also considered as an independent constructor. It is not just a contraction.”
請負人(contractor)が建設業者(constructor)に化けた個体。同じ文の尻尾で契約(contract)が陣痛(contraction)にもなるため、1体で建設業と産科の2業種を巻き込む。英会話講師を一言で一人親方の大工に転職させる。語幹を共有する三兄弟(contractor / constructor / contraction)のうち、正解だけが召喚されなかった。
第74夜ティアード
召喚の呪文: “I'm tear, I'm teared, you know, the books into the compact size.”
破く(tear)の過去形を teared と作り、さらに be 動詞を先に置いて受動にしてしまった個体。tear は「破く」と「涙」が同じ綴りなので、この個体が現れると宿主は「本を破いた」と言ったつもりで「本に泣かされた」と証言することになる。分厚い問題集を前に成人男性の涙腺が破壊された報告として成立する点が、他のどの個体より残酷である。同じ夜に2度召喚されているため、事故ではなく生息が確認された。
第74夜タイム・コンストリクト
召喚の呪文: “You won't make it to the end, because the time constrict.”
制約(constraint)の席に、締め付ける(constrict)が座って生まれた個体。宿主の周囲では制限時間が物理的に受験者を締め上げ、1問解くたびに部屋が狭くなる。実際の受験体験としてはこちらのほうが正確ではないかという疑いが残るため、図鑑の生態欄には「討伐の是非を検討中」とだけ書かれている。
第75夜スチューピッドネス
召喚の呪文: “Foreign speakers using big words is the perfect combination of stupidness.”
愚かさ(stupidity)に -ness を重ねて生まれた個体。カワードネス(第5弾)と同じ -ness 系譜だが、この個体だけは召喚された文脈が特殊である — 宿主はこのとき「ノンネイティブが難しい単語に手を伸ばすと馬鹿に見える」と主張していた。主張の正しさを、主張の方法で証明してしまった唯一の個体として、図鑑では自己言及棚に置かれている。
第75夜クラウン・アピール
召喚の呪文: “It's kinda clown appeal at the same, it doesn't impress them.”
道化っぽさ(clownish)を、道化 + 訴求力で組み直して生まれた個体。意味は伝わるのに辞書には無いという、この番組でもっとも扱いに困る種である。宿主は「難しい漢字を使う外国人」を説明しようとしてこれを召喚したため、個体そのものが説明対象と同じ現象になっている。
第79夜コールド・ジャイアント
召喚の呪文: “He's like a cold, uh, giant.”
優しい巨人(gentle giant)の1語だけが差し替わって生まれた個体。捏造語ではなく捏造コロケーションである点が新しい — 使われている単語は2つとも実在し、綴りも発音も正しく、それでも英語ではない。生態は冷淡で、宿主が25分かけて積み上げた賛辞を最後の1語で全部回収していく。討伐方法は判明している(gentle に戻すだけ)が、宿主は召喚した自覚がないまま会話を終えた。図鑑では「善意から生まれた唯一の敵性個体」として、単独の棚に置かれている。
第79夜ピクチャー・オーケー・ガイ
召喚の呪文: “he's very kind and picture okay guy”
「写真OKな人」を、日本語の語順のまま3語で組み上げて生まれた個体。英語では he's happy to take photos と動詞で言う場面を、名詞の連結だけで押し切ろうとした結果である。同じ夜に9回発生した「a を置かない ___ guy」の群れの一員でもあり、群れの中でいちばん英語から遠い個体として記録された。
第80夜デイリー・プレイ
召喚の呪文: “I think maybe I daily play.”
祈り(pray)が遊び(play)に化けた個体。**この図鑑で、意味が正反対に反転した唯一の召喚である。** r と l の1音差で、毎朝の祈りが毎日の遊びになった。特筆すべきは同じ会話の4分前に praying を3回正しく発音している点で、この個体は「他人の話としてなら封じられ、自分の話にした瞬間に出現する」という条件召喚型である。図鑑では自己申告棚に置かれ、隣にはセルフ減価償却(第7夜)が並んでいる。
第80夜ア・ゼア・ヒストリー
召喚の呪文: “It's just a their history.”
冠詞 a と所有格 their が同じ名詞の前に並んで生まれた個体。前夜(第79夜)に a を9回落とした宿主が、翌々夜、要らない場所に1枚置いて召喚した。**欠勤ではなく誤出勤で生まれた最初の個体である。** 生態は無害だが、聞き手に「どの彼らの歴史なのか」を一瞬探させる。討伐は a を外すだけで完了する。
第83夜デーティング・グラインド
召喚の呪文: “For me to here is like a dating grind.”
日々の単調な務め(the daily grind)が、1音の差で出会いの苦行に化けた個体。**宿主の生活習慣そのものを書き換える生態を持つ。** 召喚された瞬間、3ヶ月続けてきたオンライン英会話の目的が語学から婚活に変わり、講師陣は全員それを知らないまま今も授業を続けている。第81夜のエグザスパレート、第82夜のインクリメントに連なる「1音違い」系譜の4体目で、この系譜は4夜連続で出現している。
第83夜メンタル・ポスチャー
召喚の呪文: “What's the most important thing to maintain the mental posture?”
平常心(composure)が姿勢(posture)に化けた個体。心の話を骨格の話に変換する生態を持ち、召喚されると議論の対象が億万長者の精神から億万長者の猫背に移る。ダッドボディ(第12夜)が dad posture を連れていた前例があり、この宿主にとって posture は**心を物理に落とすときの既定の受け皿**になっている疑いが強い。討伐語は composure と level-headed の2語。
第85夜ジャパニーズ・ティピカル
召喚の呪文: “Yeah, Japanese typical, one of the name.”
形容詞の語順が入れ替わって生まれた個体。英語では評価(typical)が出身(Japanese)より前に立つが、この個体は国籍を列の先頭に押し出す。**捏造語でも捏造コロケーションでもなく、語順だけで生まれた図鑑初の個体である。** 使われている2語はどちらも正しく、順番だけが違う。特筆すべきは召喚から5分後、宿主が自分の部屋を紹介する場面で「Japanese typical room」として即座に再出現した点で、**発生した夜のうちに再発した個体は本種が初めて。** 討伐は語を入れ替えるだけで完了するが、宿主は入れ替える発想を持っていない。
第85夜ファイア・ホワイル
召喚の呪文: “A fire while a rotating column of flame.”
火災旋風(fire whirl)の whirl が while に化けて生まれた個体。**名詞が接続詞に転職した唯一の召喚である。** 炎の竜巻という具体物が、突然「〜の間」という時間の話になるため、聞き手は文の骨格ごと見失う。原稿を音読している最中に出現したので、宿主の作文能力ではなく発音の問題として記録されている。第14夜の音読誤読4連(fuel→fear / rack→lack / throat→threat / match→much)の直系。
第86夜リクルースド
召喚の呪文: “Reclused by the world.”
名詞 recluse(隠者)を動詞化し、さらに受動態にして生まれた個体。第25夜の「動詞 precious」の直系で、品詞ごと作ってしまう系譜に属する。**この個体の生態は、宿主の意思を消すことである。** 自分から世を捨てたはずの男が、召喚した瞬間に「世に捨てられた男」になった。討伐語は I have withdrawn from the world / I keep to myself。なお同じ会話の冒頭で、宿主は a recluse の a も落としている。
第86夜ヒューマンネス
召喚の呪文: “to ignite your humanness”
**図鑑史上初、召喚した瞬間に実在が判明した個体。** cowardness(第76夜)、stupidness(第85夜相当の08-04)と同じ -ness を足す癖から生まれたが、辞書を引いたところ humanness は実在の英単語だった。ただし日常では使われず、native は humanity を選ぶ。**討伐されずに保護観察となった唯一の個体で、棚には「生還」の札が下がっている。** 宿主は自分が正解を引いたことを、いまだに知らない。
第86夜ハーディング・キャスティング
召喚の呪文: “very struggling with like a harding casting”
イディオム herding cats(猫の群れをまとめる=不可能な統率)が、2語とも入れ替わって生まれた個体。第29夜の「a ton of bricks off my shoulders」と同じ空中衝突型だが、**本種は音だけを残して意味を全部落とした点で新しい。** 生態: 出現すると、子供3人と格闘していた父親の絵が消え、代わりに何かの配役作業が始まる。討伐語は herding cats、および暴れるものをまとめる動詞 wrangle。
第91夜アンコンシダラブル
召喚の呪文: “It will create like a unconsiderable un yeah un”
**図鑑2体目の「実在するのに間違い」個体。** ヒューマンネス(第86夜)は実在して意味も合っていたが、本種は実在したうえで**意味が正反対**である。unconsiderable = 取るに足りない。宿主が言いたかったのは「計り知れない」で、人類の終わりを語る文が、召喚された瞬間に些細な出来事になった。**un- を付ければ強くなる、という宿主の信仰から生まれた系譜の最新種。** 討伐語は unimaginable / incalculable、口語なら in ways we can't even imagine。
第91夜アーティズム
召喚の呪文: “it's all about art, artism you know not about money”
-ism を付ければ概念になる、という宿主の癖から生まれた個体。芸術性は artistry で、-ism は主義・思想に付く語尾である。**生態は自己申告型** — 出現するのは、宿主が誰かを本気で褒めている最中に限られる。第76夜のカワードネス、第85夜相当のスチューピッドネスと同じ「語尾を足して概念を作る」系譜だが、本種は足す語尾を間違えた初の個体。討伐語は artistry。
第91夜マクロ・ラバー
召喚の呪文: “he did a lot of kind of like a macro lover you know I mean? Macro lover YouTuber.”
工作系・実験系YouTuber(maker)を指そうとして生まれた個体。**語感だけが本物で、中身が空である。** 出現すると、実験室で銅像を鋳造している男が、巨視的な何かを愛好する人物に変換される。宿主は召喚後、同じ語を2回繰り返して定着を試みたが、講師は意味を取れないまま「science, engineering, whatever knowhow」と言い換えて処理した。**討伐語は maker。**
第92夜ピーファウリング
召喚の呪文: “kind of like a lady like walking around peafowling”
**図鑑史上初、同じ夜に2回召喚された個体。** クジャクの学術的分類名 peafowl に -ing を付けて動詞化した。討伐語は peacocking。**しかもこの30分後、講師が自分から peacock と言っている。正解が目の前に置かれたのに、宿主はそれを拾わなかった。第90夜の obstacle course と完全に同じ形である。**
第92夜スレンダリング
召喚の呪文: “but very slendering, you know, like tall, but skinny”
形容詞 slender に -ing を足して動詞化した個体。ピーファウリングと同じ1文の中で生まれた双子。**この宿主は、意味が足りないと感じると語尾を増やす。** 討伐語は slender のまま、あるいは skeletal。
第92夜ネイチャー・ドミナント・プレイス
召喚の呪文: “But you live in a nature, you know, nature dominant place.”
名詞を2つ並べれば形容詞になる、という信仰から生まれた個体。生息地はケープタウン近郊で、**自然のほうが政権を握っている地域**を指すとされる。討伐語は surrounded by nature。
第93夜トゥルースネス
召喚の呪文: “And uh, truthness there. No pretense, like very, very, they are true.”
既に名詞である truth に -ness を足して生まれた個体。**名詞に名詞語尾を付けたので、意味が二重になって出てこられなくなっている。** 生息地は英国下院。**特筆すべきは、この個体の真横に No pretense という完全に正しい札が落ちていたことである。** 討伐語は honesty、学術名は truthfulness。
第94夜ポップト・トピック
召喚の呪文: “So what like uh popped topic did you wanna do?”
popular と pop が衝突して生まれた個体。**話題が人気になるのではなく、破裂する。** 生息地はDMMデイリーニュースの一覧画面で、毎日どれかひとつが破裂しているとされる。討伐語は popular topic / trending topic。
第94夜ミステリカル
召喚の呪文: “I would like to visit Southeast Asia, it's mysterical”
mysterious(謎めいた)と mystical(神秘的)が正面衝突して生まれた第3の個体。**どちらの意味も持っているが、どちらとしても通じない。** 生息地は東南アジア。**ただし宿主は同じ文で South Asia と言ったので、この個体の正確な生息地はインド周辺ということになっている。** 討伐語は mystical。
第95夜メイン・ソーシャル・メディア
召喚の呪文: “But still, main social media”
mainstream media(主流メディア)と social media(SNS)が正面衝突して生まれた、どちらでもない第3のメディア業界。**特筆すべきは、この宿主が同じ夜に同じ的を2回外していることである** — 2発目は established media。**そして3発目、講師が自分の口で mainstream media と正しく言った。正解は目の前に置かれ、拾われなかった。** 討伐語は mainstream media、別名 MSM / legacy media。
第95夜コロナウイルス研究所
召喚の呪文: “located in the, how again, in Institute of like Coronavirus Institute”
**捏造語ではなく、捏造された機関である。図鑑にとって初の建造物。** 武漢ウイルス研究所の名前が出てこず、その場で命名された。**この宿主は語を作るだけでなく、施設も建てる。** 実在するのは the Wuhan Institute of Virology。
第93夜シャウト・マッチ
召喚の呪文: “A very shout match, shout match.”
講師が a shouting match と発音した**5秒後**に、-ing だけを削って生まれた個体。**しかも2回召喚されている。** 第90夜の obstacle course(10秒後に崩壊)、第92夜の peacock(拾われず)に続く「直後落下」の3体目。**この宿主の耳は、語を通すたびに1文字ずつ削る。** 討伐語は shouting match。
第96夜オリーブオイルの木
召喚の呪文: “I'm not sure that how olive oil trees grow.”
**図鑑にとって初の捏造植物。** 実がなるのは olive で、oil はそれを搾ったあとの製品である。**この宿主は、製品のほうを木に生やした。** 枝から油が垂れている絵しか浮かばない。第95夜の「コロナウイルス研究所」(初の捏造機関)に続き、**2夜連続で存在しないものを建造している。** 討伐語は olive trees。
第96夜ヘルス・コンサーンド
召喚の呪文: “people who are very health-concerned”
**図鑑史上もっとも寿命の短い個体。** health-conscious(健康志向)を作ろうとして concerned(心配している)を掴んだ。**ところが同じ文の後半で、宿主が自力で conscious に着地している。** **召喚から0.5秒後に、召喚者自身に踏み潰された。同一文内での駆除は96夜で初めてである。** 討伐語は health-conscious。
第96夜ビフォア・デイズ
召喚の呪文: “I think I can pre-book before days.”
「前もって」を before + days で組み立てた個体。**日本語の「前の日々に」を、そのまま部品化して英語の棚へ運んでいる。** **しかも同じ文で pre-book を出している。pre- を知っていながら、そのあと日本語に戻った。** 討伐語は in advance / ahead of time。
第101夜インプロンプト
召喚の呪文: “Joe Rogan maybe can easily answer in prompt, you know, in prompt.”
impromptu(即興の)が、in と prompt に割れて生まれた個体。**2回召喚されている。** 生態は「命令待ちの状態で待機している即興」で、プロンプトを入力するまで何も答えない。**特筆すべきは、この個体が召喚された2秒後に、宿主が自分で off the cuff を出して踏み潰したことである。** 第96夜のヘルス・コンサーンド(同一文内での駆除)に続く、2体目の自力駆除。討伐語は impromptu / off the cuff / on the spot。
第137夜レイモン
召喚の呪文: “from the, you know, Raymon's, you know, my point of view, is very bad choice”
**図鑑史上初の捏造人物。**素人の視点(a layman's point of view)の layman が、Raymon という人名になった。**しかも「レイモンの、つまり私の」と言い直したので、宿主とレイモンは同一人物である。**南アフリカの増税を、レイモン氏が批判している。**この宿主は語(トレランシー)、施設(コロナウイルス研究所)、植物(オリーブオイルの木)を発明してきたが、人を作ったのは137夜で初めて。**討伐語は layman / from a layman's point of view / in layman's terms。
第137夜ドギー・ドッグ
召喚の呪文: “I worried about that kind like, you know, doggy dog”
**dog-eat-dog(犬が犬を食う=弱肉強食)の聞き違いから生まれた個体。**犬っぽい犬。**弱肉強食の世界が、犬が犬らしくしているだけの世界になった。誰も食われていない。**英語圏でも有名な聞き違い(doggy dog world)で、宿主は本場の聞き違いを日本から再現した。**叫ぶ者が勝つ政治を心配する文の、いちばん大事な1語がこれだった。**討伐語は dog-eat-dog / a dog-eat-dog world。
第137夜ギャップニング
召喚の呪文: “AI also always contribute to the like, uh, the the, you know, gapening, in gap, uh, widening”
**gap(格差)に -ening を付けて動詞にした個体。**格差がギャップる。**召喚から2秒後、宿主自身が widening と言い直して踏み潰した。**第96夜のヘルス・コンサーンド(同一文内)、第101夜のインプロンプト(2秒後)に続く、自力駆除の3体目。**同じ夜、countereffect も撃ちかけて止めている。この宿主の口は、捏造語を作る速度と消す速度が、137夜目で初めて同じになった。**討伐語は widen the gap / widening the gap。