「同じ」の定型2本の、前置詞が入れ替わる (on a boat with us / in the same page — in the same boat(同じ境遇)が船の上に、on the same page(同じ認識)がページの中に。2本とも「同じ」の定型で、違うのは前置詞だけ。その前置詞だけを交換した)
**この町では、同じ境遇の住民が船の甲板に立ち、同じ認識の住民が紙の中にいる。**港の船には本日、困っている人が全員乗っている。誰も船室に入らない。**★町の会議で「認識が揃った」と言われた議員は、議事録の紙の中に入って出てこない。**認識は揃っている。紙の中で。 **Marv の張り紙 — 「船は in、紙は on。乗り込むのが船、載るのが紙」。**
印刷された正解を、口の在庫の音で読み替える (improvise → improve / off-the-cuff → of the cough / consensus → consistency / flat → left / flog → Frog / Eiken → egg — 自分の検死の画面を読み上げているのに、画面の字ではなく在庫の音が出た。10発。即興の英語が咳の英語になった)
**この町では、張り紙を音読する住民が、張り紙に書いていない語を読む。**図書館で本日、「即興」と印刷された看板を読んだ住民が全員「咳」と読んだ。看板は正しい。読む口が、看板より先に決まっている。**★Marv の張り紙そのものが、今朝から正しく読まれていない。**Marv は張り紙に「音読する前に、知らない語に印を付けろ」と書き足した。その行も、読み替えられた。 **Marv の張り紙 — 「印刷された字は、在庫の音より弱い。知らない語は、1音ずつ読め」。**
感想の語が1段重くなる (I'm really depressed — 博識な講師2人に挟まれた感想。言いたいのは humbled(身が引き締まる)。英語の depressed は病名に近い。前夜の I'm so nice(自己評価)と対で、感想の語の温度が外れる)
**この町では、尊敬すると鬱になる。**学校の表彰式で本日、優秀な同級生を見た生徒が全員「鬱だ」と申告した。保健室は満員で、全員が元気である。**★逆に、昨日「俺はいい人だ」と言った住民は、今朝「鬱だ」と言った。温度計が、上にも下にも1段多く振れる。** **Marv の張り紙 — 「身が引き締まるは humbled。鬱は病名。感想の語は、1段下げてから言え」。**
involve の向きが裏返る — 仕事が人に巻き込まれる (my work is involved in driving / the work you're involving — 仕事・活動が involve する(my work involves driving)。人は be involved in(I'm involved in construction)。日本語の「関わる」が1語なので、英語の2形に割れない。今夜2回とも、人が仕事を巻き込み、仕事が運転に巻き込まれた)
**この町では、仕事が住民に巻き込まれる。**現場が朝、作業員の中に入ってくる。工事は人を伴わず、人が工事を伴う。**★市場の運営者は、市場に関わっているのではなく、市場を巻き込んでいる。**74通のメールは、本人が市場に送ったことになっている。 **Marv の張り紙 — 「仕事が involve する。人は involved in。巻き込まれるのは、いつも人の方である」。**
定型を耳で覚えると、牙が抜ける (doggy dog — dog-eat-dog(犬が犬を食う=弱肉強食)が、聞いたとおりの音で doggy dog(犬っぽい犬)になった。英語圏でも有名な聞き違い。叫ぶ者が勝つ政治を心配する文の、いちばん大事な1語が、牙を失った)
**この町では、弱肉強食の世界が、犬が犬らしくしているだけの世界になる。**競争は本日、全員が尻尾を振って終わった。誰も食われていない。**★叫ぶ者が勝つ政治を心配していた住民は、心配の中身を言った瞬間に、心配が平和になった。**心配は過去形(I worried)で、今はしていない。 **Marv の張り紙 — 「弱肉強食は dog-eat-dog。犬が犬を食う。ドギー・ドッグは、ただの犬である」。**
一般名詞が、一人の住民の名前になる (from Raymon's point of view — 素人の視点(a layman's point of view)の layman が、Raymon という人名になった。しかも「レイモンの、つまり私の」と言い直したので、本人とレイモンは同一人物。この番組が人物を発明したのは今夜が初めて)
**この町では、「素人の意見」が全部、Raymon という一人の住民の意見として扱われる。**役場の意見箱には本日、差出人が全員 Raymon の投書が入っている。筆跡は全部違う。**★Raymon 氏は町のどこにも住んでいないが、町のあらゆる議題に意見を持っている。**南アフリカの増税にも反対している。 **Marv の張り紙 — 「素人は layman。レイモンは、いない」。**
否定を前に出すと、距離が裏返る (I don't think voting online will be far far away — 「ネット投票はまだ先」と言うつもりの文。否定を前に出す型(I don't think ~)が far という距離の語に当たり、「遠くないと思う=もうすぐ来る」になった。直後の I don't know why で、相手には「もうすぐ来る、理由は知らない」と届いた。正しくは still a long way off / not anytime soon)
**この町では、「まだ先だ」と言った物が、言った翌朝に角を曲がって来る。**役場が「当分やらない」と発表した工事は、発表の朝に始まる。「そのうち」と言った結婚は、週末に式場が取れている。**★住民は距離を言っているつもりでいる。否定を前に出した瞬間に、向きだけが裏返る。** **Marv の張り紙 — 「まだ先、は a long way off。否定を前に出すなら、far は使わない」。**
卵の殻と薄氷の「上」が消える (walking around eggshells / walking eggshells / it's very thin ice — 細心の注意で振る舞う、は walk ON eggshells。危うい立場は be ON thin ice。語は2本とも持っていて、on だけが落ちた。around だと殻の周りを回り、無印だと殻そのものを歩かせる)
**この町では、政治家が卵の殻の周りを歩く。**殻の上に乗らないので割れない。割れないので、いつまでも殻の周りを回っている。**★薄氷の上にいる、と言われた住民は、氷の横に立っている。氷は割れず、住民も落ちず、冬が終わるまでそこにいる。** **Marv の張り紙 — 「卵の殻も薄氷も on。周り(around)を回るのは、迷子である」。**
見る(look at)が、見る物の名前に吸い寄せられる (I didn't watch my watch once — 時計を見る、を watch で言った。watch は動くものをじっと見守る語で、時刻を確かめるのは look at / check。名詞の watch(腕時計)と動詞の watch(観賞する)が1文に並んだ。同じ夜、壁の時計も watch on the wall と言い、clock の席に watch が座った)
**この町では、腕時計は観賞するものになった。**住民は腕時計を、試合や映画のように最初から最後まで見守る。秒針が1周するたびに拍手が起きる。**★時刻を知りたい住民は、時計を見ずに隣の人に聞く。**隣の人も時計を観賞しているので、時刻は誰にも分からない。**★壁の時計は、本日から腕時計と呼ばれる。**壁に掛かった腕時計は、だいぶ大きい。
聞こえる(hear)が、聴く(listen)に化ける (I don't know if you can listen to this ambient kind of music, BGM? No? — 部屋のBGMが相手の耳に届いているかを聞く1文。届くかどうかは hear、耳を向けるのが listen。日本語ではどちらも「きく」なので、英語の2語に割れない。相手はそのまま I can't hear it actually と返した)
**この町では、音が「聞こえる」かどうかを、住民が「聴いてくれ」と頼んで確かめる。**頼まれた住民は耳を澄ます。澄ましても、届いていない音は聞こえない。**★町の音楽は本日、流れているのに誰にも届かない。届いているかを聞く言い方が、町に1つしか無いからである。**
very を、名詞と句の前に置く (it's very uphill battle / Shohei is very in a funk / it's very not interesting / Very so huge disappointed / so much vulnerable — 強めたい気持ちが、置けない席に very と much を5回座らせた。名詞の前は a real、句の前は really。同じ夜、fear for Pages(怖い → 身を案じる)と off the rail(話がそれる → 暴走)で、狙った語の1語隣がずれた)
**この町では、「とても」が、何の前にでも付く。**住民は「とても戦い」「とても不調の中」「とてもおもしろくない」と言う。**役場は本日、「とても」の配給を形容詞の前だけに限った。**名詞の前には「本物の」、場所の前には「本当に」を代わりに配る。**★配給の初日、住民の文は1語ずつ短くなり、意味は1段ずつ強くなった。**
台本に書かれた「別の誰か」が、読み上げる口で目の前の相手になる (Last week, I told another teacher → It's you. It's actually you — AIが書いた台本の1文。第127夜の講師は、いま話している講師だった。同じ台本の I passed the vocabulary section も、3分後に口が Maybe I'll pass. I'm not sure に戻した。紙は相手と結果を知らず、口は知っていた)
**この町では、手紙の宛名に「どこかの誰か」と書くと、手紙は読んでいる本人に届く。**住民は「ある人に聞いた話なんだけど」と話し始め、2行目で、その「ある人」が目の前にいることに気づく。**役場は本日、「どなたか」と書いた書類の受付をやめた。**書いた人が、読み終える前に名前を書き直すからである。
紙に書かれた意見を、読み上げた口が裏返す (I support it, but only with strict limits — AI が書いた練習資料の「私の意見」の行。本人は読み終えた1秒後に this say I support it, no, no, no, I don't と立場を変え、strict limits に戻り、you have to strike a balance に着地した。前夜は盛った事実(隣人の性別・誤答の数)を口が直した。今夜は書かれた意見を口が直した)
**この町では、提出された意見書は、本人が声に出して読んだ時点で効力を失う。**読み上げた口が言ったほうが、その日の本人の意見として記録される。**意見書の中身は、たいてい読み上げの3秒後に裏返り、10秒後に「釣り合いを取るしかない」に落ち着く。** 役場は本日から、意見書の提出をやめ、**最初の1文だけを口頭で受け付けることにした。**最初の1文で立場を言い切った住民の意見だけが、最後まで同じ形で残った。
用意した台本の、最後の1文だけが着地しない (And see is a woman again, I'm going to sexy song — AIと作った台本の締め if I see that woman again, I'm going to ask her if she happens to have one more spare watch を読み上げた声。本文の比喩3本は口に乗った。崩れたのは締めの1文と、途中の2行 — my reputation was ruined → my invitation was moving / who left his gun → who felt like felt who felt。同じ夜、台本が盛った所(隣の人は女 → 男、誤答1問 → 3問)は、読み上げる口が事実に戻した)
**この町では、用意された挨拶の最後の1行だけが、別の歌になる。**町長の挨拶も、卒業式の答辞も、本文は原稿どおりに届く。締めの1行だけが壇上で知らない歌に化け、聴衆は拍手の時を失う。**★ただし原稿に盛った所があると、読み上げる口がそこだけ勝手に事実に直す。原稿の「満員の会場」は、口に出ると「半分くらいの会場」になる。** **Devon の張り紙 — 「締めの1行は、壇に上がる前に1回、声に出して通しておくこと」。**
日本語の1語が、英語の2語に割れない (They don't hang big watch — 壁の時計を watch と言った。同じ夜、試験中に手首の watch は止まっていた。日本語の「時計」は1語、英語は clock と watch の2語。同じ夜の I'm not cunning(カンニング)も、日本語の1語が英語の別の語に着地した)
**この町では、時計屋の看板が1枚しかない。**壁に掛ける時計も、手首に巻く時計も、同じ棚に並んでいる。役場の壁には、巨大な腕時計が掛かっている。誰も時刻を読めない。ベルトの穴が文字盤を隠しているからである。**★同じ朝、町の試験場では「ずる賢い者は立ち入り禁止」の札が出た。カンニングを禁じるつもりで書いた札である。** **Marv の張り紙 — 「壁の時計は clock。腕の時計は watch。カンニングは cheating」。**
覚えた型の中に、誤りが一緒に保存されている (The idea that death penalty is justified has attracted much considered attention ... prompting the debate over whether that kind like a cruel stuff should be still remained — 試験の前夜に暗唱した作文の書き出し。型の骨は正しく、considered(熟慮した)と be remained(自動詞の受け身)の2語だけがずれて保存されていた。その場で崩れたのではなく、覚えた時点で崩れていた)
**この町では、壁に彫られた文句が、彫られた時から1字ずつ違っている。**誰も気づかない。毎朝読まれ、毎朝正しいものとして暗唱される。役場の礎石には「この町はかなりの注目を集めてきた」ではなく「この町は熟慮された注目を集めてきた」と彫ってある。裁判所の正面には「残るべきか」ではなく「残られるべきか」と彫ってある。**★彫り直すには、まず誰かが声に出して読み、それを外の誰かが聞かなければならない。**
母語のつなぎが1語だけ英文に座る (some guys uh very obsessed like a kind of nanka test nerd — 日本語の「なんか」が英文のまん中に1語だけ出た。同じ夜、和製英語の order made もそのまま出た。英語の人格(alter ego)を名乗る10分前)
**この町では、英語の文のまん中に、海の向こうの言葉が1語だけ座る。**住民は誰もその語を知らないが、誰も聞き返さない。座った語は文の流れを止めず、意味も足さず、ただ「なんか」そこにいる。郵便局はその語を宛先不明として扱わず、そのまま配達する。**★同じ朝、海の向こうの名前で注文された品(オーダーメイド)は、町のどの店でも品番が見つからない。**
食われた側と食った側が同じ文に並ぶ (Driving five hours got eaten up my entire day / Many things got eaten up my times — 受け身 got eaten up の後ろに目的語が立ち、能動と受動が1文に重なる。前夜に客から渡された句動詞の up は2回とも立った)
**この町では、「食われた」と言った者の後ろに、食われた物が並ぶ。**「5時間の運転が、丸1日を食われた」と届け出た住民の前で、役場は、運転が食べたのか、運転が食べられたのかを決められない。丸1日は、食べた側の列にも、食べられた側の列にも立っている。**★届いた荷物は正しい。句動詞は前の晩に客から渡されたばかりで、粒子の up まで付いている。向きの札だけが2枚貼られた。** **Marv の張り紙 — 「食われた、のあとは by。食った、のあとは食べた物。どちらか片方」。**
行き先はあるのに、動詞が無い (after this class I will straight into the bed — 助動詞 will と行き先 into the bed はあるのに、go が抜けた。同じ夜の開幕、I got early でも up が抜けた。朝4時起きで運転した夜の最初の5分)
**この町では、行き先だけが決まっていて、行く人が動かない。**「授業が終わったら、まっすぐベッドへ」と言った住民は、言った場所に立ったまま、ベッドの方角を向いている。「早く」とだけ言った住民は、目は覚めているのに、まだ布団の中にいる。**★行き先も、時刻も、意志も揃っている。足りないのは、体を運ぶ1語だけである。** **Marv の張り紙 — 「will のあとには、動詞を1つ。行くなら go、起きるなら get up」。**
要る be が消える (probably I going to explain / I really excited / the mound condition also pretty important / he's been like struggle — going to・形容詞・進行形の前の be の席が空く。これまでの be の法則は全部「余る」向きだった)
**この町では、「〜である」の窓口が、客の来ている時間に閉まっている。**「うれしい」と言いに来た住民は、窓口を通らずに、うれしさだけを持って帰る。「これから説明する」と言った住民は窓口の前を素通りし、説明の予定だけが役場に残る。**★これまで町を悩ませてきたのは、この窓口が余計に開くことだった。今朝は逆で、開くべき時に閉まっている。** **Marv の張り紙 — 「going to の前、うれしいの前、-ing の前には、窓口が1つある。通ってから言うこと」。**
何年も前の出来事が「今までに」の形で語られる (I've watched that movie 12 years ago — 日付の付いた昔の出来事が、現在完了で今に引き寄せられる。同じ夜、映画の筋を語る動詞も現在形に倒れた: kill himself / end up / realize)
**この町では、何年も前に起きたことが、今も続いていることになる。**「12年前に観た」と言った住民は、12年間ずっと同じ映画を観続けていることになり、町の映画館は13年目の上映を止められない。**★住民は昔の話をしているつもりでいる。動詞だけが、話を今日まで引きずってくる。** **Marv の張り紙 — 「何年前、と言うなら、動詞も昔に置いてくること」。**
「同じ」が量産される (a same lesson / in a same room / with same old kids — same には必ず the が要るのに、a が付くか、何も付かない。3夜で3回)
**この町では、「同じ」ものが何種類もある。**「同じ授業」は町のあちこちで別々に開かれていて、どの「同じ授業」に出たのかを聞くと、住民は「とある、同じ授業」と答える。「同じ部屋」は何室もあり、同じ部屋で会う約束をした2人は、別々の同じ部屋で待っている。**★住民は同じものを指しているつもりでいる。札だけが、1つに決めていない。** **Marv の張り紙 — 「同じ、と言う前に、あの、を言うこと」。**
名指しされた「あの」が、読むと「どれか1つ」になる (Funding is a line / a hospital bed / a yearly checkup / a 90-year-old — 原稿には全部 the と書いてあり、4本とも「X is the Y」の定義の文。目で the を見ているのに、口が a を出す。1行だけ、a を3回言ってから自分で the に戻した: is a, is a, is a, is the app)
**この町では、看板に「あの」と書いてある店が、読み上げられた瞬間に「どこかの」店になる。**「角の、あのダイナー」は、町内放送で「どこかのダイナー」になり、客は町じゅうのダイナーを探して回る。予算書の「三月に尽きる、あの一行」は「どれか1行」になり、どの行が尽きるのか、三月まで誰にも分からない。**★字は正しく書いてある。狂うのは声に出したときだけである。** **Marv の張り紙 — 「看板は、is のあとの the までをひと息で読むこと」。**
1つと数えられない物に、1つの札が貼られる (a very bad news / it's a milk / like a eight days / like a seven, eight — 要る席では a が5回正しく立ち、a と an の取り違えは0。そのかわり、数えない名詞と数字の前に札が出た。4枚のうち3枚は like の直後)
**この町では、1つ、と数えられない物に、1つの札が貼られることがある。**悪い知らせが1通として届き、配達員はどこまでが1通なのか分からないまま町を一周する。牛乳が1個だけ仕入れられ、30人で回して飲む。8日間が1個になり、入院は1つの箱に詰められる。**★住民は、要る物には正しく札を貼る。狂うのは「〜みたいな」と言った直後で、札が先に出て、品物が後から決まる。**
a と an が逆向きに入れ替わる (a amazing job / an redundant process — 母音の前に a、子音の前に an。札を置く席は合っていて、形だけが次の語の音と逆を向く。同じ夜、評価の名詞の前の a は6回正しく出て、欠勤は前夜の7回から2回に減った)
**この町では、札を置く住民が戻ってきた朝に、札の形が入れ替わる。**「ア」で始まる品物には短い札が、「リ」で始まる品物には長い札が掛かる。**置く場所は合っている。品物も合っている。札の長さだけが、品物の名前の最初の音と逆を向く。** **Marv の張り紙 — 「札の長さは綴りで決めない。品物の名前を1回声に出して、最初の音で決める」。** **本日、郵便局の窓口では、荷物の名前を読み上げてから札を選ぶ。**
品定めの1文で、受付の be が開き、札の a が消える (that's sounds normal / this contrast is sounds nice / it's not sounding good — 語の響きを評価する文でだけ sound の前に is が立つ。同じ文で What ▲ nice word / Is that ▲ common phrase — 評価の名詞の前の札が消える。質問の形 Which sounds better, A or B? では崩れない)
**この町では、何かを「いいね」と評するたびに、役場の受付窓口が1つ余計に開き、店先の札が1枚消える。**評した品物は正しく届くが、評価の言葉だけが二重に受付を通る。**ただし「どっちがいい?」と聞く形にすると、窓口は開かない。**
a の札が like に貼り付いて詰め物になる (like a money / like a, wasted / like a opens / like a cardio — a が名詞の予告ではなく、言葉を探すあいだの口癖になる。1回だけ、置いた札を自分で捨てた: It's like a It's like boxing)
**この町では、「〜みたいな」と言うたびに、品物の無い札が1枚ついてくる。**札の後ろには何も乗っていない。客は気にしないが、郵便局の台帳は札でふくらむ。**まれに、住民が札を置いてから、乗せる品物が無いことに気づいて札を拾い戻すことがある。それが一番きれいな札の使い方である。**
張り紙が効きすぎて、札が要らない皿にも配られる (前夜の宿題「That's の次は a」を守った口が、That's a similar / is a great / a black and white / a manual labor / a grit と、名詞の来ない席と数えない名詞の前にも a を置く。同じ夜に欠勤も8枚)
**この町では、前の日に出た張り紙が、翌日、張り紙の外にも効く。**「皿には札を1枚」と貼られた翌朝、スープにも、空の皿にも、水にも札が置かれる。**札は正しく作られていて、配る先だけが選ばれていない。**一方で、札が本当に要る皿のいくつかは、今日も空のまま出てくる。
読んだ荷札は届き、思い出した荷札は1語欠ける (the haves and ▲ not haves / as they ▲ fit / generations to generations / at the risk of — 画面を見て読めば無傷の定型が、目を上げて出すと部品を1つ動かす)
**この町では、帳簿を見ながら書いた荷札は全部届き、そらで書いた荷札は1語だけ欠けて届く。**欠けるのは毎回1語で、2語は欠けない。「持たざる者」が割れ、「適切と見る」の「見る」が抜け、「代々」の世代が複数になる。**★欠けた1語は、その者がまだ口に入れていない1語である。荷札が、持ち主の在庫の穴を正確に指す。** **Wanda の札 — 「帳簿を見て1回書いたら、次の1回は帳簿を閉じて書く。欠けた所だけ、もう1回」。** **本日、この町の郵便局では、荷札を2回書く。1回目は見て、2回目は見ないで。**
空席に置いた1語が、相手の文に入る (講師が語を探した0.5秒に Sweatshops / gullible / Greater good — 3回差し出し、2語が講師の文にそのまま入った)
**この町では、客が言葉を探して黙った0.5秒の間に、住民が1語を差し出すことがある。**差し出された語が合っていれば、客はそれを拾って自分の文を続ける。合っていなければ拾わない。**★長い文は帳簿から読み、客の文に入るのは、帳簿に無い1語のほうである。** **Judge Halloran の記録 — 「客の文に入った語は、贈った側の在庫にあった証拠として台帳に載せる。昨夜は2語」。** **本日、この町の窓口では、客が黙ったら、1語だけ差し出してよい。**
慰めの定型が部品を1つずつ落として届く (feel sorry for / my heart goes ▲ to / I'm really feel for you — 相手の不幸を聞いた直後の1分、狙いは正しく、金具が1つ欠ける)
**この町では、相手の不幸を聞いた者の慰めが、半分ずつ届く。**宛先は3つとも正しい。1つ目は荷札が少し上から、2つ目は心臓だけが届き、3つ目は be が1枚余っている。**★受け取る側は中身を読める。荷札が半分でも、慰めは届く。** **Marv の張り紙 — 「不幸を聞いたら、最初の荷物は7語で固定 — I'm so sorry to hear that。2つ目からは落ち着いて金具が付く」。** **本日、この町の慰めは、最初の1つだけ役場の書式で送る。**
語頭が同じ札を隣の棚から取る (assure≠ask / considered≠compared / rugged=頑丈≠ボロ / careless=不注意≠無関心 — 1音違いの狙撃ではなく、語頭が同じ別の語)
**この町では、「ボロい」と書いた注文票に「頑丈」の品が届く。**「聞かせて」が「保証します」で届き、「比べて」が「考えて」、「無関心」が「不注意」で届く。**★9月6日の狙撃手(1音違い)とは別の住民で、この者は語頭が同じ札を、隣の棚から先に取る。** **Ray の記録 — 「ボロと頑丈は反対である。10年点検していない頑丈な車から距離を取る、という注文票は、店で初めて見た」。** **本日、この町の棚は、語頭ごとではなく意味ごとに並べ直された。**
感謝の荷札が逆向きに貼られる (I'm so much appreciated — 贈る側が be を貼ると、感謝が受け取る側に化ける。#3、2026-06-14 の I was appreciated 以来の最古の持病)
**この町では、「ありがとう」と言った者の頭上に、「ありがとうと言われた」の札が上がる。**褒めた客は何も受け取っていないのに、札のせいで、客が住民に深く感謝したことになる。**★この札は、相手から何かをもらった直後にだけ上がる。褒め言葉、親切、時間。** **Marv の張り紙 — 「『ありがとう』の次の荷物は I appreciate の3語で。be を貼った瞬間に逆向き」。** **本日、この町の感謝は3語で言う。**
今の状態が習慣の札で掲げられる (I don't move ×2 — 「今、動いていない」を現在形で言うと「私はいつも動かない人間だ」になる)
**この町では、「今、動いていない」と言った者が、その場の置物になる。**現在形は習慣の札なので、動かない、と言った瞬間から、その者はいつも動かない者として登録される。2回言えば2回登録される。**★客が「なるほど」と返す。置物に、なるほど、と返す。** **Wanda の札 — 「今この瞬間は -ing の札で。習慣の札は、毎日そうする者にだけ」。** **本日、公園のベンチに置物が1つ増えた。夕方には自分で立って帰った。**
否定の「〜も」に also が座る (I'm not sure also — 否定の文で either が来ず、肯定の「〜も」の札が掲げられる)
**この町では、「私も知らない」と言った者の頭上に、「私も知っている」の札が上がる。**本人は知らないと言っているのに、札のせいで、周りは知っている仲間が1人増えたと思う。**否定の荷物は、either の箱でしか正しい住所に届かない。**
記録の側の誤りが国境で止められる (検死が書いた take the against side が2日で宿主の口に入り、第108夜に講師が bad English と判定した)
**この町の役場が配った書式に、海の向こうで通らない一語が入っていた。**住民は書式どおりに話した。書式どおりに話したことは、住民として正しい。**★止められたのは住民ではない。書式である。** **Judge Halloran の記録 — 「百八日、国境を越えて止められるのは住民の事故だけだった。本日初めて、役場の事故が越えて、止められた。役場は書式を回収し、同じ枚数を書き直して配った」。** **本日、町の掲示には全部、書いた者の名前が小さく入っている。**
関係詞 what の欠勤 (that's you said / It's about I wanted to say is — 「〜したこと」の「こと」の箱が届かない)
**この町では、「言ったこと」「やりたいこと」の箱が届かない。**「あなたが言った」とだけ書かれた伝票が届き、何を言ったのかの欄が無い。**★中身は住民の頭の中にある。箱だけが配達されない。** **Marv の記録 — 「言い出しの箱(やりたいのは〜)は届く。後ろに付ける箱(それが言ったこと)だけが落ちる」。** 本日、郵便局は箱を先に送る方式に切り替えた。
指の定型の反転 (can't put my finger on it → can't point the fingers。違和感の場所を押さえるはずの指が、誰かを指差す)
**この町では、違和感の場所を指で押さえようとした者が、誰かを指差してしまう。**「どこがとは言えないが何か変だ」と言いに来た住民の指先が、隣に立っている者に向いている。**★指された者は何もしていない。指した者も責めるつもりはない。指の置き場所だけが違う。** **Flo の張り紙は一行 — 「違和感は押さえる。指差すのは犯人のときだけ」。** **本日、町では指が十本とも、一度も押さえる側に使われなかった。**
-ly の札が隣の語に貼られる (sounds very clearly / read so meticulous / a brutally AI — 「どのように」の札が、動詞の隣ではなく状態や名詞の隣に貼られる)
**この町では、様子を表す札が、貼るべき物の隣の物に貼られる。**「はっきりと」の札が声ではなく聞こえ方に貼られ、聞こえ方が演技になる。「丁寧に」の札が読む動作から外れ、読む者が丁寧な人になる。**★役場の見解は一行 — 「様子の札は動作の隣にしか貼れない。どんな、の席に、どのように、を貼るな」。** **本日、この町の札は3枚、貼り直しになった。3枚とも向きが違うので、貼り直す者は判定ではなく物差しを持って回っている。**
客と対戦相手の同一化 (hear opponents' sides — 番組に招かれた客が、入場した瞬間に対戦相手として登記される)
**この町では本日、招かれた客が全員、対戦相手として登記される。**Flo のダイナーに入った客は名簿の「相手」の欄に書かれ、Wanda の店で棚を見ている者は「敵」として応対される。**★意味は通る。誰も怒らない。ただし、全員が少し身構える。** **Judge Halloran の記録 — 「この町の会話は、招いた者と招かれた者で成り立っている。対戦相手という語を使った瞬間、もてなしが試合になる」。**
直った席の隣が空く (a little bit の a を直した翌々日に、a little bit a nervous と隣に a が湧く / immerse yourself in の in を拾って yourself を落とす)
**この町の修理には、隣の部品が外れる副作用がつく。**昨日まで欠けていた札が正しく貼られた朝、その隣の札が一枚多く貼られている。蛇口を直すと隣の蛇口が漏れ、門を直すと隣の門が開く。**★修理工は無能ではない。直した箇所は確かに直っている。** **Marv の記録 — 「この町では、直りは一度に来ない。半分ずつ来る。今朝直った半分の隣に、今朝外れた半分がある」。** **本日、役場は修理の受付を「直す箇所」と「隣の箇所」の2枠にした。**
訂正ではない入力 (講師が英語の誤りではなく、本人の自己評価そのものに割り込む)
**この町に、直しに来ない客が現れる。**その客は品物を見て、寸法も色も何も言わず、作った者に向かって一言だけ言う — 「これはあなたが作ったものだ」。**★工房ではその日、誰も直されなかった。それでも夕方には、作った者の値付けだけが変わっている。**
定型の部品入れ替え (been there done that が seen there done that に / back in the day が back in time に)
この町の決まり文句が、一語だけ入れ替わったまま流通する。**意味は通るが、聞いた者は必ず一拍止まる。**その一拍のあいだに話し手は先へ進んでしまうので、止まった側だけが置いていかれる。**役場の見解は一行 — 「決まり文句は語の列ではない。一つの長い単語である。途中で息を継ぐと部品が落ちる」。**
数詞を形容詞にするときの s (a ten fingers trick / a three days trip)
看板の数字が、指しているものと合わなくなる。**「十本指の仕掛け」という札の下に、指が十一本描かれている。**描いた者は数を間違えていない。札のほうが、数えたあとの形で書かれているだけである。**本日、この町の札は数える前の形で書き直される。**
時制が現在に落ちる (100年前の話をしながら there is / people are fleeing と現在形で語る)
町の時計が一日だけ止まる。住民は昔話をするたび、その出来事が今この瞬間に起きていることになり、消防団は100年前の火事に出動して戻ってこない。役場は過去形の申請書だけを受理することにしたが、書ける者がいない。
最上級に most を足す (most nice / most easy — 短い語に、長い語の作り方を当てる)
町の看板が二重になる。いちばん親切な店の軒先に「最も」と「いちばん」の札が両方掛かり、どちらが本札か決まらないまま、客は一日どちらの列にも並べない。役場は札を1枚に減らす条例を出したが、その条例の題名にも「最も」が二重に付いている。
限定詞と複数の同席 (this phrases / another ideas — ひとつ、と言った直後に複数になる)
注文票の数量欄が、書いた本人の目の前で書き換わる。「ひとつ」と書いて出した品が二つ届き、返品しようとすると伝票には最初から二つと書いてある。町の在庫は合っているのに、誰の手元も合わない。
方向の逆転 (I'm so interesting / get offensive など、する側とされる側の入れ替わり)
町で「向き」が1日逆になる。鏡が先に挨拶する。骨董品が客を鑑賞する。犬が飼い主を散歩させる。
受動態の骨折 (I was scold など)
主語が入れ替わる。「芝が私を刈った」という苦情がHOAに提出される。
冠詞の欠勤・誤出勤 (a hotels / a some kind of)
数が曖昧になる。1本のビールが6本に増え、Alder Court の家が1軒多く数えられる。
前置詞の取り違え (arrive to / the buck stops on)
接続がずれる。バスが1区画手前で曲がり、手紙が隣の家に届く。
捏造語の召喚 (tolerancy / professionality)
存在しない店が1日だけ開く。住人には買い物をした記憶だけが残る。
目的語の脱落 (I cannot use / I picked up — it が消える)
町から「それ」が消える。動詞だけが残り、住民は何かを使い、何かを拾うが、何を指しているか誰も言えない。注文票の品名欄が空のまま溜まる。
間接疑問の語順崩壊 (which your favorite comedian's など、文の中に入れた質問が壊れる)
質問が入れ子にできなくなる。「どこか知ってますか」が言えず、全員が「どこですか」としか聞けない。町中から前置きが消え、一日だけ全員がぶっきらぼうになる。
限定詞の渋滞 (a my score / a this perfect score / the my jokes — 冠詞と所有格と指示語が同席する)
所有が重複する。1つの物に持ち主が2人も3人も登記され、誰の物か確定しないまま請求書だけが人数分届く。役場の登記簿は、その日だけ二重線で埋まる。
同綴異義の取り違え・不規則動詞の捏造 (teared — 破くと涙が同じ綴りのまま両方成立する)
1つの単語が両方の意味を同時に持つ。図書館で本を破ると、本が泣く。町の誰かが「裂いた」と言うたび、その場にいた全員が少し濡れる。
類義語の渋滞 (rejuvenated / recuperated / filled up / charged — 1つの感情に語を5個積む。語彙不足ではなく語彙過剰で起きる)
1つの物事に呼び名が同時に複数つく。同じ物を同じ名前で呼べる保証が無くなり、役場は同一の1件を人数分の件数として受理する。回復した人間は1人なのに、回復は5件記録される。
句動詞の粒子の脱落 (pick up on → pick on。up が1つ落ちると「察する」が「いじめる」になる)
親切が加害として届く。褒めた相手から被害届が出て、様式は完璧なのに前例が無い。町の善意は、その日だけ1粒ぶん足りない。
存在文の崩壊 (there's a wall → it's very so wall。「〜がある」が言えず It's で始まる)
町から「ある」という申告が消える。物は全部そこにあるのに、あると宣言できない。棚の在庫は目の前にあるが帳簿には載らず、住民は指を差すことしかできない。この日、役場に提出される書類の主語欄はすべて「それ」で埋まる。
確信度の渋滞 (maybe / I think / I bet を1文に3つ積む。第78夜の処方を3つ同時に実行して起きる)
1つの事実に確信度が同時に3つつく。証明書に「たぶん本物」「本物だと思う」「本物に賭ける」の3つの判が同時に押され、押されるほど誰も信じなくなる。断定と保留が同じ紙の上で殴り合う。
祈りと遊びの1音差 (pray → play。r と l の1音で、意味が正反対に反転する)
町では真剣な願いが遊技として受理される。教会に出した嘆願が、その日だけ余興の申込書として処理される。他人のための祈りは通る。**自分のための祈りだけが、遊びに化ける。**
冠詞の転職 (「___ guy」を封じた翌々日、a が skeptic / fan で欠勤する。穴が語ではなく型にある)
肩書きの前の1枚が、職場を替えて欠勤する。前日まで欠けていた欄が埋まり、かわりに隣の欄が空く。役場は「今日どこが空くか」を毎朝くじで決めることにした。
悪化と苛立ちの取り違え (exacerbate → exasperate。対策が事態を「悪化させる」と言おうとして「イライラさせる」)
町の対策がすべて対象を怒らせる。消火器は火を消さずに火の機嫌を損ね、除草剤を撒いた庭では雑草が口をきかなくなる。問題は解決も悪化もせず、**ただ全員が不機嫌になる。**
引用の頭文字化 (the be-all and the end-all → b-a-o and e-n-o。読めない決まり文句をローマ字で提出する)
町の格言が頭文字に縮む。教会の掲示板は「G is G」(God is Good)になり、Flo のレジ横の「思い立ったが吉日」は TIG の3文字になる。**意味は全員がなんとなく分かるが、誰も声に出して読めない。**
否定の二枚重ね (I don't think money is not important。強調のつもりの not が2枚並んで、主張が反転する)
町では、否定を2回言うと肯定として受理される。「要りません」と2度言った住民に品物が届き、「行きません」と2度書いた欠席届が出席簿に記録される。**いちばん強く断った人が、いちばん確実に巻き込まれる日である。**
形容詞の語順の反転 (Japanese typical name — 出身が評価より先に立つ)
町の看板と名簿で、修飾語の順番が入れ替わる。「典型的な日本の部屋」が「日本的に典型な部屋」として登記され、意味は通るのに誰も同じ物を思い浮かべられない。役場は同一の物件を2件として受理し、内見に行くと1件しか無い。
品詞の転職 (recluse を動詞にして受動態にする — 名詞が勝手に動詞になり、本人の意思が消える)
町では、自分で選んだ行動がすべて「そうさせられたこと」として記録される。隠遁した住民は世に捨てられた者として登録され、辞めた者は辞めさせられた者になる。**申告書の意思欄が、その日だけ受動態でしか書けない。**
相手の不在 (enjoy の目的語が3夜連続で落ちる — 楽しんだ人も、楽しんだ対象も現れない)
町に楽しさだけが漂い、楽しんだ本人が見つからない。笑い声は記録されるが、誰の口から出たかは特定されない。祭りの参加者名簿は空欄のまま提出され、Flo は「楽しかった人が誰も来ていない」と苦情を出す。**祭りは、確かに開かれている。**
1音差による意味の反転 (work→walk / kill→cure / live→leave。音は隣、意味は正反対)
町では、すべての語が隣の語と入れ替わりうる。入れ替わった語は、たいてい元の語の反対である。働きに出た者は歩いて帰り、治すはずの処方が止めにかかり、出て行きたがる者と住みたがる者が同じ言葉で記録される。**その日、誰も嘘をついていないのに、誰の話も逆に伝わる。**
訛り (running → rusting など音の滑り)
町の音が半音ずれる。教会の鐘、Flo の呼び鈴、Brandon Lee のハイC。
誤りゼロの夜
快晴。町は静かで、動物園は暇で、誰かが少し寂しい。終末条項の予行演習である。
代名詞の取り違え (he と she を往復する。しかも擁護している相手に対してだけ起きる)
町では、指し示された相手に言葉が届かない。名指しは隣の席へ配達され、呼ばれた人は自分だと気づかず、褒められた人は最後まで褒められたことを知らない。**その日、悪口だけが正確に本人に届く。**
使役の make に to が入る (I made Gemini to create — 「させる」の形が崩れる)
町では、頼まれた仕事が頼まれる前に終わっている。役場には「まだ言っていないのに納品された」という届出が並び、誰が言い出したのか誰も証明できない。**その日の手柄は、全部いちばん最後に口を開いた人のものになる。**
職と人の同一化 (I am a construction — 業界名がそのまま人になる)
町では、住民の名前が一日だけ職業に置き換わる。役場の名簿から固有名詞が消え、「建設」「配管」「保険」が並ぶ。家族は誰が誰か分かるが、書類のほうは分からない。
決まり文句の前半脱落 (stuck between a rock and a hard place → rock and hard places)
町のことわざが後半だけになる。教会の掲示板は「と硬い場所」とだけ書かれ、意味は住民の記憶の中にしか残らない。
固有名詞への冠詞の配達 (This is a Como / near the Milan / like a Boris Johnson — 名前があるものに「どれのことか」の札を貼る)
町では、一つしかないものが一つであることを証明させられる。地名と人名に「ひとつの」が付き、Ridgeway 通りは「ある一つの Ridgeway 通り」として登記される。住民は自分の名前を名乗るたびに、他にも自分がいる可能性を役場から確認される。**そして同じ日、名前を持たない物からは冠詞が消え、椅子も皿も鍵も、数を失って棚に並ぶ。**
意見のときだけ1文が終わらない (音読では8分間無傷なのに、「どう思う?」の直後に1文が90秒になる)
町では、朗読しているあいだだけ全員が完璧に喋る。**新聞を読み上げる者、掲示を読む者、レシピを読む者 — 一人も言い間違えない。** ところが「あなたはどう思いますか」と聞かれた住民は、その場から**句点を失う。** 話は続き、内容は正しく、そして終わらない。**役場は本日、意見聴取の欄を「5行以内」と印刷し直した。5つに割れば全員が言える、と分かっているからである。**
数字だけが読めない (文法の事故ゼロの8分で、1.13 と 80 と 2015 だけが3回止まる)
町では、文字は読めるのに数字が読めない。**値札、番地、時刻表、体温 — すべて目には入っているのに、口に出すと桁が入れ替わる。** 18番地の住民が80番地に配達を受け取り、1.13 メートルの梁が113本届く。**綴りの読める者が数字で止まるので、住民は「数字は別の言語である」という結論に達した。本日、町は数を指で示すことにしている。**
1音の取り違えで、崩れたほうが真実になる (read between the lines → between the lies。行が嘘になり、その夜の主題に一致してしまう)
町では、言い間違いのほうが正しい。**訂正された発言は記録から外され、最初に出た誤りが議事録に残る。** 「行間を読め」と書かれた掲示は、朝には「嘘のあいだを読め」に変わっており、住民はそちらのほうを読んでいる。**誰も直さない。直すと意味が通らなくなるからである。** 本日、Devon の朝刊は誤植のまま配られ、購読者から一件の苦情も来ていない。
罪状と犯人の同一化 (felony と felon。行為がそのまま人になる)
町では、罪がそのまま人として登記される。役場の名簿に「窃盗」「詐欺」「重罪」という名前の住民が現れ、家族構成の欄には被害額が入る。**判決文は履歴書として受理され、刑期は勤続年数として数えられる。** 誰かが罪を犯すたび、町の人口が1人増える。
形容詞が数えられるようになる (a devious / a possible / a amazing / a epic — 「どんな」に冠詞が付く)
町では、性質が数えられる。「ひとつの素晴らしい」「ふたつの可能な」が在庫として棚に並び、Ray の骨董店は「一個の腹黒い」を仕入れて値札を付けた。**買った住民は、家に持ち帰ってから、それが物ではなく形容だったことに気づく。** 返品は受け付けられている。品物が最初から無いためである。
直した部品が25分しか持たない (開幕に自力で直した存在文が、締めで同じ形で崩れる)
町のあらゆる修理に、25分の保証期間がつく。**朝いちばんに直された蛇口、直された門、直された言い間違い — すべて正しく直り、正しく動き、25分後に元に戻る。** 修理工は無能ではない。むしろ全員が有能で、直せることは毎朝証明されている。**本日、町が学んだのは「直せる」と「直った」が別の言葉だということだけである。**
完成した語への語尾の増設 (truth に -ness を足す — 既に名詞であるものを、もう一度名詞にする)
町では、完成しているものに部品がもう一つ付く。仕上がった椅子に脚が5本目として届き、閉まった扉にもう一枚の扉が取り付けられる。**受け取った住民は「これで本当に完成したのか」と聞くが、届けた側も答えられない。** 増設された部分は、翌朝には静かに外れている。
母音の前で a が出る (a amazing / a extra / a idea / a echo chamber / a Eiken。4夜連続。判定を挟む余裕が無い)
町では、言葉と言葉が母音でぶつかって乗り上げる。**「ある一つの」と言おうとするたび、次の語の頭が削れて聞こえる。** 役場は本日、母音で始まる姓の住民に番号札を配ることにした。**Alder Court の全世帯が該当し、通りごと呼び名を失っている。** **住民は解決策を1つだけ見つけた — 「ある一つの」と言うのをやめて「その」と言えばいい。** 本日、この町に初対面のものは一つも存在しない。
「みんな」が複数になり、動詞から s が落ちる (everybody use / nobody use。記録の中で一度も直っていない唯一の持病)
町では、集団を指した瞬間に、その集団が人数を失う。**「みんな」と言われた住民は一人ぶんの重さになり、「誰も」と言われた住民は存在をやめる。** 教会の出席簿には「みんな」が1名と記録され、Flo は6人ぶんの注文を1皿で出した。**苦情は出ていない。全員が、自分は「みんな」の中に入っていないと思っているからである。**
台本が、読む本人について嘘を書く (AIに書かせた原稿に Since I use a Mac とあり、本人はWindowsユーザーだった)
町では、読み上げられた文書のほうが住民より正しいものとして扱われる。**朝、Devon が配った紙には全員の職業と持ち物が書かれており、書かれていないものは本日ぶん存在しない。** **紙に「彼は釣りをしない」と書かれた住民は、桟橋から静かに引き返した。** **例外は一人だけ — 読んでいる途中で「これは私ではない」と声に出した者は、その一文から外れられる。** **本日、声に出したのは一人だった。**
「急いでいる」を形容詞で言おうとして、品詞が合わずに落ちる (I'm not hurry / if you hurry。1レッスンで3回。途中で正解を置かれても直らなかった)
町では、急いでいると申告する方法が存在しない。**「急ぎ」は状態ではなく場所として登記されているのに、その場所への行き方を誰も知らない。** 本日、この町に急いでいる住民は一人もいない。**全員が急いでいるが、全員がそう言えない。** **役場は入口の地図を配ったが、受け取った住民は礼を言って引き出しにしまった。**
速度を重量で測る (a few kilograms over the standard。日本語では距離も速度も体重も全部「キロ」)
町では、秤と物差しが入れ替わる。**本日、速度は重さで測られる。** 「30グラム超過」で切符が切られ、いちばん重い車がいちばん速い。**巡査は「私は与えられた器具で測っている」とだけ述べる。** **異議を申し立てるには、まずどちらの単位で申し立てるかを決めなければならない。**
主語が落ちて、直前の話題が席に滑り込む (I'm just a normal minivan / It's not a great driver)
町では、人が自分の乗り物を名乗る。**「私は普通のミニバンです」と自己紹介した住民は、本日そのように登記されている。** **父親を指して「あれは良い車ではない」と言えば、その父親は車として評価される。** **本日、駐車場に人が4人停まっている。** **解決策は一つ — 誰の話をしているのかを、先に言えばよい。**
自分の見た範囲を根拠に、資料のほうが間違っていると断定する (「この記事は正しくない」と言い、記事が正しかった)
町では、掲示のほうが住民より広く世界を見ている。**本日、掲示に異議を唱えた住民は、その掲示の例外条項をその朝に自分で音読している。** **住民が根拠にしたのは、毎日通る3本の道である。その3本には全部、別に立て札が立っていた。** **記録係の判定は一行 — 見えているものと書かれているものが食い違ったとき、この町の住民はまず書かれているほうを疑う。順番が逆である。**
be動詞の席に、座れないものが座る (are struggle / are try / that's contribute / are willingly。動詞の原形と副詞が、形容詞の席に並ぶ)
町の「〜である」の窓口に、動作と様子が並ぶ。**「私は疲れている」と言いに来た住民の隣に、「私は走る」と「私は喜んで」が同じ列に並んでいる。** 受付は1人しか通せないのに、3人が同時に前に出る。**本日、この町で自分の状態を申告できた住民は一人もいない。** 役場の掲示にはこう書かれている — **「この窓口を通れるのは、どんな、と、なに、の2つだけ。どうする、と、どのように、は別の階へ」。**
頷いて受け取った言葉だけが、翌朝に消えている (正解を置かれ、相槌で受け、20分後に同じ間違いをする)
町では、頷いて受け取った物だけが、翌朝に無くなっている。**黙って受け取った物は残る。** 郵便も、貸した本も、教わった手順も同じで、**「はい」と言った瞬間に、その物の所有権が宙に浮く。** **住民は対策を1つ見つけた — 受け取ったら、その場で一度使ってみせる。** 借りた鍵はその場で鍵穴に差し、教わった言い方はその場で誰かに言う。**本日、Flo のダイナーでは、注文を復唱した客の皿だけが実際に出てきている。**
1音の取り違えで、衝突が片思いになる (clash → crush。ぶつかろうとした二者が、一方的に想う側と想われる側になる)
町では、対立が恋に化ける。**言い争いに来た二人は、役場に着くころには片方が片方を想っている。** 議事録には「衝突」と書かれ、当事者の一方だけがそれを「告白」として受け取る。**返事は本日ぶんまだ届いていない。** **Judge Halloran の判断はこうである — 「この町の争いは、両側から同時に始まらない。だから、いつも片方だけが傷つく」。**
「ひとつの」と言った直後に、名詞が複数になる (a five fingers / an extra hours / a three days。1レッスンで5枚、番組の最多)
町では、ひとつ頼むと必ず複数で届く。**「ひとつの五本指」を注文した住民の玄関に、指が五本ぶん別々の箱で置かれている。** 役場は数量欄と単位欄を同じ枠に統合したが、統合した結果、どちらの数字も読めなくなった。**本日、この町で「ひとつ」を成立させた者はいない。** **住民が見つけた対策は一行 — ひとつと言うのをやめるか、複数と言うのをやめるか、どちらか片方に決める。**
書式に埋めた文だけが崩れず、自由に喋った文は崩れる (暗記した1文に中身を代入すると三単現も冠詞も無傷。同じ25分の自由発話は5枚落ちる)
町では、様式のある書類だけが正しく受理される。**空欄に語を入れて出した申請はすべて通り、自分の言葉で書いた申請はすべて差し戻される。** 内容は同じである。**枠があるかどうかだけが違う。** 役場は本日、住民の相談を口頭で受けるのをやめ、穴埋めの紙を配ることにした。**紙を受け取った住民は、生まれて初めて、言いたいことが最後まで通った。**
昨日ちゃんと言えたことが、今日は言えない (前夜の検死で無傷と判定された3つの形が、翌夜に全部崩れた)
町の修理には25分の保証がついていたが、本日から、**正しく動いていた物にも一夜の期限がつく。** **昨日いちど正しく閉まった扉、昨日いちど正しく読めた掲示、昨日いちど正しく言えた挨拶** — すべて翌朝には元に戻っている。**壊れたのではない。直したのでもない。ただ、昨日できたことが今日はできない。** **役場の記録係は帳簿を2冊に分けた。1冊は「新しく届いたもの」、もう1冊は「昨日あったのに今朝は無いもの」。** **本日、両方の冊子に同じ数だけ記入があった。**
狙った語の隣の語が着弾する (thunder/lightning、curb/curve、rarely/readily、variable/valuable。1レッスンで5発、番組の最多)
町では、注文した品の隣の棚のものが届く。**似ているが用途が違う。** 雷の音を頼んだ住民の家に雷の光が落ち、縁石を注文した役場に曲線が届き、「価値ある」と書いて出した書類は「変動する」として受理された。**★品物はどれも実在する。間違っているのは棚の位置だけである。** 本日、Ray の骨董店は在庫表の並び順を変えることにした。**中身を覚え直すのではなく、危ないものを離して置く。**
賛成の側に立つと、手持ちの道具が半分使えなくなる (右手の動詞5本のうち、賛成の論に乗ったのは1本だけ)
町の道具は、使う向きが決まっている。**壊す方向にしか動かない道具を、直す仕事に持ってきた住民が、道具箱の前で立ち尽くす。** 削る鑿、抑える轡、崩す槌 — どれも本物で、どれもよく切れる。**ただし本日の仕事は「良いものを良いと言うこと」だった。** **★昼過ぎ、一人が解決した。道具を持ち替えるのではなく、削る相手を替えたのである。「いまのやり方」を材料にすれば、削る道具はそのまま使える。** 本日の作業台には、現状という名の木片が並んでいる。
処方が2段だと執行されず、1段だと執行される (判定を1回に絞った3つの宿題が、3つとも動いた)
町の掲示は、本日から一行しか書けなくなった。**二行目のある指示は、誰も最後まで読めない。** 「まずAを確かめ、次にBを決めよ」と書かれた張り紙の前で、住民は全員Aで止まり、そのまま歩いていく。**一行の張り紙だけが実行される。** **★役場が気づいたのは、住民の理解力の話ではないということである。歩く速度が決まっていて、二行目に着く前に張り紙を通り過ぎるだけだった。** 本日、掲示板の文字が大きくなり、数が半分に減っている。