読めば、中学英語。
聞けば、別言語。
英語が聞こえない原因を、音声学の研究に基づいて100の現象に分解した。 1現象=1例文。全文、読めば100%分かる中学英語。 それでも聞こえない。その「聞こえない仕組み」ごと覚える100文。
目で見た英語
What did you get at the shop?
耳に届く英語
wuh-dih-juh-geh-duh-thuh-shop
7語のうち、辞書通りに発音される語は shop 1語だけ。 単語を7個知っていることと、この音の連なりが取れることは、別のスキル。 あなたに足りないのは語彙でも努力でもなく、この変換表。
感覚論ではなく、研究で分かっていることから設計した。
L2リスナーの聞き取りを調べると、機能語(of, than, him...)の認識率は内容語より有意に低い。しかもこの傾向は母語を問わず、習熟度が上がっても消えない。何年やっても聞こえない正体の一つは、the や of のような「一番簡単な単語」のほう。
日本語話者は ebzo と ebuzo を区別できず、両方 ebuzo と知覚する。子音が連続すると、存在しない母音「ウ」を脳が勝手に挿入するから。フランス語話者には起きない。聞き逃しではなく、無い音が「聞こえてしまう」。これは努力量の問題ではなく、耳のOSの問題。
音素対比には「間違えると会話が壊れるもの」と「間違えてもほぼ通じるもの」がある(functional load)。r/l や s/sh は前者。日本人が10年練習してきた th は後者。市販教材の優先順位は、実証研究の優先順位とかなりずれている。
例文は全部、明日そのまま使える実用文。だから音読すればスピーキングの、 書き取ればライティングの練習に自動的になる。よくばりでいい。 ただし設計の中心は一つ:「なぜこの文が聞こえないのか」を1文ずつ説明できること。
全文が中学英語。読んで分からない文は1本もない。だから聞けない原因が「音」に一意に絞れる。
主役。崩れた実際の音を、崩れたまま聞く。1文ごとに「どこで・なぜ聞こえないか」の解説つき。
崩れた音の表記通りに自分の口で再現する。自分で出せる音は聞ける。弱形で言えれば話す速度も上がる。
聞いて書き取れば穴が特定できる。100文は全部そのまま使える実用文なので、書けた文は明日の口から出る。
配分は思いつきではなく、日本語話者の実損の大きい順。
機能語40語が無強勢で潰れる。リスニングの穴の最大勢力。1語=1文で全潰し。
根拠: Roach (2000) の弱形40語 / Field (2008): 機能語の認識率は内容語より有意に低く、母語・習熟度を問わず頑健
単語と単語が溶け合い、音が消え、別の音に化ける。知っている単語が知らない音になる仕組み。
根拠: 連結・脱落・同化・フラップ・短縮の標準5分類を22パターンに展開
無い母音が聞こえる。ある子音が潰れる。日本語で育った耳だけに起きる錯覚。市販教材に存在しない領域。
根拠: Dupoux et al. (1999): 幻聴母音 / 野澤(立命館): m-n-ng識別で日本語話者が最下位
強勢とリズムとイントネーション。英語は強い音節だけで骨格が伝わる言語。ここを知らないと全音を拾おうとして溺れる。
根拠: 強勢拍リズム / 対比強勢 / can-can't は t ではなく強勢で聞き分ける
-ed と -s の音は3種類ずつ。fifteen と fifty。実務で一番金銭的実害が出るパート。
根拠: -ed /t/ /d/ /ɪd/ の3分岐 / -teen と -ty は強勢位置で判別
間違えると会話が事故る音素対比だけ4本。thは最後の1本のみ。理由は#100で。
根拠: Munro & Derwing (2006): 高functional loadの対比ほど理解を大きく崩す。thは低FL
カード番号は現象の分類順。そのまま上から順にやると弱形が40連発する、いわゆる blocked practice になる。Taylor & Rohrer (2010) は、同種を固めるより混ぜたほうが 練習中の出来は落ちるのに翌日テストが2倍になることを示した。効いた理由は 「どの問題にどの手続きを当てるかの判別力が上がったから」。 いま起きているのが弱形なのか脱落なのかフラップなのかを、その場で当てる力。 リスニングで要求されるのはまさにそれなので、1日の中で必ず複数パートを混ぜている。
←付きの番号は前提つき。フラップTを知らないと get a は取れないし、h脱落を知らないと him は取れない。 全18本の前提関係がこの順序で満たされていることは、コードで検証してある。 Day11 / 17 / 21 だけは意図的に1パートで固めた。-ed の3分岐や強勢の4種類は、並べて比べること自体が判別訓練になるため。
初版を音声学の標準リストと突き合わせたら、穴が10個あった。 埋めたものと、まだ空いているものを両方書いておく。
再生ボタンで音だけ聞く。取れなくていい。「どこが取れなかったか」を自分で言えることが目的。
「えっ、これが聞き取れなかったの?」の瞬間が本体。解説で「どこで・なぜ」音が崩れたかを確認する。
きれいに読まない。wuh-dih-juh のまま10回口に乗せる。自分の口で出せる崩れは、次から耳が拾う。ここがスピーキング練習を兼ねる。
同じ音源が別物に聞こえたら、その現象は攻略済み。チェックをつけて次へ。数日後にもう一度戻ってくると定着する。
進捗 0 / 100
それでも聞こえなかったなら、原因は語彙でも年齢でも才能でもなく、音の変換表を持っていなかったこと。 表はこの100文で全部渡した。あとは毎日3文、口と耳に通すだけ。
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